こんにちは。WOMenらぼ編集部の塩冶(えんな)です。
今回ご紹介するのは、「エン派遣」の営業として活躍中の谷山。派遣会社が登録スタッフを集めるための求人サイトである「エン派遣」というサービスを通じて、「1人でも多くの求職者が希望に合う仕事に就き、生き生きとはたらける」ことを目指して日々奮闘中。
1児の母であり、時短勤務ながらも業績はフルタイム勤務時の2倍。その成果が評価され、四半期に一度、シンボリックな活躍をした社員に贈られる「社長賞」を受賞しました。
出産・育児休暇を経た女性社員は、仕事内容が限定されたり、昇進の道のないキャリアコースを選ばざるを得なかったりする「マミートラック」とは真逆に映る谷山の姿。「女性活躍」推進のシンボル、バリバリ働くストイックなママのような印象を受けがちですが、実は彼女のキャリアは、決して順風満帆というわけではなかったそうです。
では、彼女はこれまでどのようにキャリアを歩んできたのか。彼女のキャリアの出発点である名古屋支社勤務時代からご紹介したいと思います。
<Profile>
2009年に新卒でエン・ジャパン入社。名古屋配属。派遣会社を支援する部署の法人営業としてキャリアをスタート。2014年4月、パートナーの転勤を機に東京へ異動し、間もなく出産。現在は同部署において、時短勤務をしながら大きな成果を上げている。その生産性の高さは社外からも注目され、雑誌の取材を受けたほど。日々、クライアント・ユーザーと真摯に向き合いながら仕事に取り組んでいる。
|チャレンジしなかった、名古屋時代。
-新卒入社から5年目まで、名古屋にいた頃のことを教えてください。
名古屋で過ごした時代は、宝物でもあり、後悔や反省も沢山あります。
5年間、ほとんど変化のない環境でした。ほぼずっと同じお客さんを担当していて。お客さんのことをよく理解しているから、商談準備もスムーズに出来てしまう。お客さんも、「いつも頑張ってくれているから」と発注してくれる。あまり努力をしなくてもやっていけたんです。
それに、4年目まではずっと私が組織の中で一番下だったんですよ。5年目になって初めて後輩が入社してきて。
当時の上司に「谷山、OJTとかやらないの?」って言われたんですけど、「私そういうのいいです」と断ってしまったんですよね。特に深い考えもなく、しんどそうだからとか、多分そんな浅はかな理由で。とにかく変化もチャレンジもしない5年間でした。
途中で環境に飽き始めていることに気づいたんです。仲の良い先輩や同期に「東京に行きたい!」って言っていましたね。今思えば単純すぎる理由なのですが、東京はマーケットも大きいし、大阪で同じ大学に通っていた友人たちが東京に進出していくのを見て、私もみんなと一緒に東京へ行きたい!と思っていたんです。
-そして入社5年目、パートナーの転勤を機に東京へ。
はい。念願かなって、憧れの東京へ行けることになりました。ただ、そのとき私は妊娠していたので、「何で今なんや」とは思いましたけど(笑)。妊娠8ヶ月で転勤し、すぐ産休に入りました。
|パニック状態だった、復帰後の半年間。
-復帰後は相当大変だったそうですね。
もう、本当に死ぬんじゃないかと思いました(笑)。
今だから笑って話せますが、当時は本当にギリギリで。同じ部署なのに、今までやっていたことが全く活かせない。名古屋での最後の2年間は、慣れだけで8割の仕事が出来てしまっていたんですよね。あのときに学んでいなかったツケが来たなと思いました。
担当するお客さんの規模も大きくなり、従来のやり方では通用しないことばかり。今までは求人一つひとつに対して、派遣会社へ改善提案をすることが出来ましたが、扱う求人数がケタ違いになり、「Excelを使って分析する」ということを初めてやったんです。
「応募数が多い求人の特徴は?」「この求人に応募してくれたユーザーはどんな人たちなのか?」など、全体の傾向を定量的に確認し、課題を明確にしていく。やったことがないことだらけで、パニックになっていました。
あまり大きな声では言えませんが、子どもが寝てから朝までExcelをいじっていたこともあります。ただでさえ慣れない子育てで疲れも溜まっているはずなのに、仕事のことで頭が一杯で寝ていられなかったんですよ。
|出来ない自分をさらけ出す。
さすがに2週間も3週間もそういう日々が続くと、ちょっと気持ちが参ってきて。復帰して半年が経つころ、上司に「私、もうピンチなんです」ということを思い切って告白しました。
そのとき有志で参加していた社内のプロジェクトも降りて、上司との面談で「今こういう状態で辛い」ということを吐き出して。その日はもう頭を冷やそうと思って、お客さんとのアポもキャンセルさせていただいて。もう1回ゼロからやり直そうって決意した、それが復帰後半年くらいの出来事ですね。
-今の谷山さんからは想像がつきません。ずいぶん思い切りましたね。
はじめは勇気がいりましたけど、もうかっこつけてる場合じゃない!という状況だったんです。このままでは社内にも家庭にも迷惑をかけてしまうと思って。とにかく言おうって思いましたね。
-さらけ出したことで、どのような変化がありましたか?
周りも分かってくれているから、自分は今出来るところまで頑張ろう。今は甘えさせてもらおうって思うようになりました。肩の力を抜いて仕事に向き合えるようになった気がします。
すごく恥ずかしいので言いたくないんですが、入社7年目にして、上司に1日のタスク管理表を見てもらっていたんですよ。こんな年次になっても周りの皆が助けてくれるし、大丈夫だって自分に言い聞かせました。
でもこんなに甘えてばっかりじゃいけないから、その分はいずれ必ず返そうという思いで振り切って。「すぐに成果を出さなきゃ」という気持ちを一旦リセットできたのが大きかったですね。
周りも私がピンチってことを分かっていたので、すごく声をかけてくれて。声をかけられるたびに、本当に沢山の人にお世話になったから、簡単に辞めるなんて言っちゃいけないと思いました。絶対いつか返さなきゃという思いが強くなりましたね。
|「迷ったら、困難な道を選ぶ」の原点とは?
-辛かった当時を振り返ると、今はどのように感じますか?
名古屋にいた5年間のうちに、変化やチャレンジをして自分を鍛えていれば良かったなと思います。会社から指示されなくても、自分から新しいプロジェクトを考えるとか、新しい仕事を自分から生み出すくらいのことをやっておけば良かったなと。
あと、やっぱりあの時に意地でもOJTやリーダーのポジションを志願すれば良かった、と思いますね。
出産して復帰すると、「時短勤務」という変化だけでもすごく大変なんですよ。だから、若いうちに色んな挑戦をして、変化を経験しておいた方が絶対に良いと思います。
当時の私は「時間がない」と思っていたんですが、今思えばいくらでも時間がありましたね。子どもが出来て、自分の時間がない今の方が、いろんなことに挑戦しています。
-先日チャレンジリーダー(※)に立候補し、11月から正式なリーダーになると伺いました。何故やろうと思ったんですか?
※リーダーを目指したい人が自ら手を挙げ、チャレンジできる制度。年次や経験を問わず、全社員に機会が与えられている。チャレンジ期間を経て成果や資質が認められれば、リーダーになる権利を獲得できる。
変化したい!と思ったからですね。やっぱり名古屋時代の後悔が大きくて。挑戦しない自分はもう嫌だったんです。
-どうしてそんなに頑張れるんですか?
私はいつも、「良い汗流したい!」と思って仕事をしているんですよ。すごく熱い感じですけど(笑)。
実は、高校時代に挫折を経験していて…折れそうになったときには必ず当時の経験を思い出します。楽な方に逃げたら良いことない!って痛いほど実感した経験が、自分を奮いたたせているんだと思います。
-どんな高校時代だったんですか?
勉強も部活も頑張るような進学校に通っていました。中学までは、成績も内申点も良くて「谷山さんすごい!」と言われていたんです。でも、高校には自分よりもすごい人たちがたくさんいました。
サッカーでブラジルに留学しつつ、東大にも行けちゃうみたいな。自分なんて大したことなかったんだ、と思いましたね。
入学当初はソフトテニス部に入っていましたが、みんなみたいに勉強と部活を両立することなんて自分には出来ないと思って。しんどいから部活は辞めるっていう決断をしたんです、入学して早々に。
でも、勉強一本の毎日になったのに成績は全然上がらなくて。狙っていた志望校にも行けなかったんです。部活を辞めたことによって、頑張ることを諦めるクセがついてしまったんですよね。
高校を卒業するとき、勉強も部活も頑張っていた子たちは、志望校にも受かり、後輩たちにも囲まれて…すごくキラキラした笑顔で卒業していきました。それを見ていて、「私はこの高校生活で何を得たんだろう?」と思ってしまって。
楽な方を選んだらこうなるんだ、得られるものなんてないんだ。「しんどい」とか「自分には出来ない」という理由で何かを諦めてはいけないんだ、って痛感しました。だから、今は頑張れるんだろうなと思います。辛くても、頑張っていれば良い汗かける!って信じています(笑)。
-当時の後悔が、今の原動力になっているんですね。
そうですね。あと、入社当初からずっと思っているのは、「子どもに誇れる仕事をしたい」ということです。
子どもがいて制約があるのに、なぜ私はあえて働くんだろう?ということを考える機会が、出産後はすごく増えました。復帰前よりも働く意味が自分の中で明確になって、本当に充実しています。今後も働き続けたいですね。
-キラキラした笑顔が素敵な谷山さん。大きな苦労を乗り越えたからこそ、今とても充実しているということが伝わってきました。貴重なお話をありがとうございました!
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