名馬ブケファラスが若かりしアレクサンドロス大王に贈られたとき、馬番のだれひとり
この荒馬を乗りこなすことができなかった。
普通なら「なんてやっかいな馬だ」とでも言っただろう。しかし、アレクサンドロスは
違った。
どこに本当の原因があるのかを探しはじめたのだ。アレクサンドロスはこの馬が自分自身の影に
ひどくおびえていることにすぐに気づいた。
おびえて暴れると影も暴れる。馬はそれを見て、さらにおびえ暴れるという悪循環だったのである。
アレクサンドロスは馬の鼻づらを太陽のほうに向かせ、常にその姿勢を保(たもつ)つことで
なんとか落ち着かせて手なづけた。
この例が示すように、アリストテレスから直に学んだアレクサンドロスには、もうよくわかっていた
。本当の原因がわからないかぎり、感情をコントロールすることはできない、ということが。