このようなタイトルに致しましたが、バリー・ボンズって自分の中では、
割と最近までテレビで見てた選手って感じなんですよ。
でも引退したの2007年なんですね・・・今から13年も前。
そりゃ自分も年取るわけだ、と記事を書く前に思い知らされました(笑)
さて、今回の記事の内容ですが、ボンズの打撃と彼の使用している名作2K1を紹介します。
ボンズの話題になると、薬物問題だとか初期のスマートな頃の話だとか、
いろいろと話したくなる話題がありますが、今回はあくまでも2K1を使用していた、
中期~晩期に限っての話にします。
ボンズの打撃の特徴としては、
①常に同じスイングができる。
②とにかくフォームがコンパクトである。
③バットを短く持っている。
このらへんは常に言われていることですよね。
そして、人々は言います。
「これで打球をこんなに飛ばせるわけがない」、「ボンズは異常」とね。
確かに異常なほどの卓越した打撃能力を持っているという点では否定のしようがありませんが、
それだけでは、ここまでの成績を叩き出すことは無かったでしょう。
これだけの無駄のないコンパクトな、力みのないフォームで打ちまくるには、理由があります。
それは、やはり利用していた道具・・・バットが答えとなるでしょう。
(もちろん、私の個人的な所見になりますので鵜呑みにはしてほしくありませんが・・・)
ノブの24の番号がさす通り、初期の頃に使用されていたH238型です。
大型バレルが特徴の、現代でも使用している選手がそこそこいるトップバランスのモデルです。
もちろん、ボンズほどの剛腕ならばこの重さでも振ることは容易かったわけですが・・・
まだまだ彼の打撃理論に適合するモデルではなかった。
H238よりもノブが滑らかになったオウンモデルである、BONDS1もといB1。
これもなかなか素晴らしいバランス感覚のモデルではあるんですが、まだまだ理想じゃない。
彼が求めていたのは、
無駄な重さがなくて、それでいて球をより遠くへ飛ばせる合理的なモデル。
そこで、広いノブが特徴のLouisville SluggerのC331型を改良して生まれた2K1を使いだしました。
大き目のノブはそのままに、バレルも2.55インチとかなり大型のものを採用。
サムバット製モデルの代名詞となっていくビール瓶型バレルの一番ポピュラーなモデルですね。
バレルサイズ2.55インチ(64.77mm)というと、普通ならばトップバランス待ったなしなサイズですが、
2K1は驚くべきことに、ミドルバランスなんです。
改めて、バットのスペックを記しておくとしましょう。
①バレルサイズは2.55インチ
②さらに、ロゴの上まで伸びるロングスウィートポイント。
③クビレの角度が急なショートテイパー。
④ハンドルは、23.8ミリと、そこそこ細め。
⑤ノブは50mmをゆうに超える大型な”ベルノブ”。
⑥スイングウェイトはミドルバランス。
いろいろなバットを見てきましたが、その中でもかなりユニークな形状をしております。
じゃあ、こんな大型モデルがどうしてミドルバランスを保てるのか、ですが・・・
やはり、ノブの大きさでしょう。
この大型のノブの部分+ハンドルだけでも重量が30~40gほどあります。
打撃部分が大型な2K1ですが、手元のこの重さは重心を動かすには十分すぎる重さです。
それに加えて、ボンズはヘッド部分に1㎝~2cmほどのカップを掘っていました。
これでさらにヘッドの重さを20gほど軽くすることができます。
単純な重量だけでも、ヘッド部分から50g以上重量を逸らせることが出来ているわけです。
さらに、ポイントになるのがビール瓶型バレル!
非常にボリューミーな打撃部分ですから、イメージとしてはかなり重そうな形状です。
確かに、ショートテイパーの大型バレルは重くなりがちなんですが、
2K1に至っては、めちゃくちゃ長い打撃部分が幸いして、むしろ重心がズレているのため、
実は結構軽いんですよ!
自分はこういう重さの関係の科学的な概念はあまり理解は深くないのですが、
実際振ってみると分かるはず(投げやり)。
これに加えて、さらに最終的なバランス調整として・・・
テーピンググルグル巻き+バットをかなり短く持つこと。
これでボンズ好みの最強のフィールのバットが完成と言うわけです。
バットを短く持つこと・・・これは、単純にバットを軽く振ることができるのですが、
2K1は、上でも述べたように30g級の大型ノブですから、それの重量を完全に無視できるわけです。
これに加えて、グリップがより重心に近づくことで、これだけでもかなり軽くなるでしょう。
科学的な実験で、バットを短く持っても反発性能には変化が無いことが証明されていますし、
バットを短く持って、打球が飛ばせないのは単純に慣れの問題ではないかな、と思います。
さーらーにー、このテーピング!
滑り止め、あるいはファッションのため、とも解釈できますが、
このグルグル巻きにしたテーピングの状態ながら20gぐらいバットが重くなっているでしょう。
つまり、重心を逸らすために、大型化したノブやハンドルが、
さらに重くなったことで、もうボンズにとっては
軟式バットでも振っているかのようなフィールでしょう。
そんな軽くなった2K1を、あの無駄のないフォームで振り回されるなんて
相手の投手にとっては恐ろしいこと、この上ない!
超人的スイングスピード+超大型バレル質量×無駄のないフォーム=最強
というわけです。
本塁打記録も、もちろん注目されるところではありますが、
ボンズの異常なレベルの出塁率の高さは、
この傑作2K1と共に作り上げられた記録と言えます。
長々と駄文を記しましたが、以上の内容を短くまとめると、
①2K1は、見た目の割にかなり軽い。
②2K1をボンズはさらに軽く改造していた。
③2K1をブチ回してボンズは打ちまくった。
こんな感じでよろしいかと(笑)
※補足
「軽くした」というのは、あくまでもバットの重量移動の話です。
ヘッド部分に重量が集中しているよりも、分散していた方が軽いですよねって話です。
どのみち、バットの形状や重量バランスにめちゃくちゃデリケートで、こだわっていたボンズが、
長年使っていたモデルですから、ぜひとも皆様にも試していただきたい一本です!!
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さて、ここからは余談になりますが・・・
キャリア晩年の2007年、日本のSSKと契約したボンズが使用していたバットです。
カナダのサムバットの工場が水没した影響で、選ばれたのがSSKでした。
日本人職人の手によって作られた一級品質のモデルに、こだわりの強い彼も満足。
キャリア晩年だったとはいえ、日本製のバットを使ってくれていたというのが嬉しいですね。
(ただ、日本版ボンズWikiにわざわざ書く内容ではないとは思う)
これがありますんで、SSKの方に直接メールで、「ボンズバットつくっちくり~~」と依頼したところ、
「ダメです」と、普通に拒否されてしまいました。ひどい!!
引退後は、サムバットの看板プレイヤーとしてプロモート活動をしているボンズですが、
SSKも2K1(か、コピーモデル)を作ればいいのになぁ・・・と少し思ったり。
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【リンクコーナー】
SSKのボンズモデルはオーダー不可能ですが、サムバットの2K1はオーダー可能です。
今年は途中までは、従業員の方にもコロナウィルス感染者が多数出た影響で、
生産するバットの種類が著しく減っていたのですが、
現在は、もともとのカスタムオーダー及び、ストックモデルが復活しております!
バリー・ボンズと同じサイズの2K1をご所望ならば、34インチ/-2~-3オンスで注文すると良いでしょう。
一流の弾きを体験したければ、間違いなくオススメな一本です。
バリー・ボンズの2K1をはじめとして、ミゲル・カブレラのMC1や
ホセ・アルトゥーベのJA27、スタントンやオスーナの2K2など、
他選手のモデルもたくさんありますから、いろいろご覧になってください。
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次はそろそろ新しいバットを紹介したいなぁと思っています。
では、また次回。