いびつなる兄弟


忍は情では動かない。
不利な戦や形勢が悪いと見れば、あっさりと主君を見限る。

散っていった手下の補充の為、ある者を尋ねる。

地獄耳とあだ名される男だ
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地獄耳は2人の若い忍の話を語った。
興味にかられ、会う事にした。

一人は六郎、百済の者
もう一人は南方の出身で半次。

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元々秋月家は後漢霊帝の後裔、南方や大陸、百済にも商いを進めている為、家中には大陸や南方の血を引く者も多い。
我が身にも…

戦に敗れ、捕えられた者が売り買いされるのはこの国でも同じ事…

六郎は百済のさる高貴な方の血を引くと言う。

なるほど美しい顔立ちをしている。

対象的に半次は色黒の小男で、腕と顔に、南方の不気味な入れ墨がある。

驚いた事に2人は兄弟だと言う。

もちろん血は繋がっていないだろう。

名付けた者がそう『した』のだろう。

古来より暗殺者は2人1組で育てられる事が多い。

兄弟として育て、心に檻を作り、逃げられない状況下で情を『育てさせ』、最後に片方を最後の試練の相手とする…

愛した者を殺す…

そうして1個の暗殺者が生まれる…

しかしこの2人は、その試練の中、顔色一つ変えず、自らの師と周りを囲んだ手練を皆殺しにしたという。

…儂はこの2人を引き取る事にした。

当初は暗殺以外は素人同然だったが、よく修業についてきた。

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おそらく彼らにも『何もなかった』からだろう…
儂や若と同じく…

いや…儂には若が…

たった1人の妹の子がいる。

奴らにお互いがいる様に…

さあ行こう

戻る道なき修羅の道
歌うは夜叉の子守歌

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