取り外しの出来る矯正器具
◆取り外し可能な矯正器具
一つは、「床矯正」という方法。これは、ワイヤーで締め付ける矯正装置ではなく、取り外し式の入れ歯の様な装置を使う矯正法です。約70年前にウィーンの歯科医により考案された方法で、主にヨーロッパで行われています。ドイツでは約7割がこの床矯正だそうです。
歯を正しい位置に動かすとともに、顎を正しい大きさに拡大します。床矯正装置にはスクリューが装着されており、ネジを巻いてスクリューを移動させることで、顎を広げたり歯を動かしたりします。
最大のメリットは取り外しが出来る事です。基本的には食事中と歯を磨く時以外は装着しておくほうが望ましいのですが、人と話す時、外出時、仕事中などに外してばかりいると矯正治療はうまくいきません。
抜歯は必要ありません。不正咬合の状態にもよりますが、早期だと従来の矯正よりも安価(装置一つなら約10万円くらい)で治療が出来ます。治療期間は2,3カ月~2.3年です。4歳以上なら治療可能で、治療開始が早いほど治療は早く終わります。
但し、床矯正装置ではブラケットを歯の一本一本につけるわけではないので、特定の歯だけを一ミリ動かすといった細かいコントロールは出来ません。わりとアバウトな矯正法といえます。
一つの方法として、遅くとも犬歯が生えるまでに床矯正装置で顎を拡大しておくと、ある程度きれいな歯並びに矯正する事が可能です。
床矯正装置とワイヤーを併用すると、姿勢の改善、表情筋のコントロールも行う事が出来ます。従来であれば抜歯をして数年間の矯正治療が必要だったケースでも、一年~一年半という短期間で装置を外す事が出来る様になりました。
本格矯正(ブラケットを付けた矯正)の前処置として床矯正を使用する事もよくあります。
取り外しの出来る矯正装置としてはもう一つ「ビムラー式矯正装置」というものがあります。ドイツのビムラー博士が考案した方法で、ドイツではすでに過去50年以上の症例データがあります。筋肉と噛む力を利用した矯正装置です。取り外し可能で、就寝時と昼間2~3時間ほど装着します。3歳以上であれば可能です。但し、綺麗な歯並びになるには4年程かかります。
床矯正もビムラーの矯正も歯を動かす事だけでなく、顎の正しい発育を促す事で自然に歯が綺麗に並ぶようにするという考え方が基本にあります。これは「機能的矯正」と呼ばれる方法です。
不正咬合というのは、たとえていうと三人がけの椅子に座ろうとしている状態です。矯正治療は、大人の場合だと一人分どけて(抜歯して)、三人をきちんと整列させる事です。でも、子供は顎の骨は筋肉が発育する過程にあります。そこで、椅子のほうを大きくして四人座れるようにしてあげるのです。その為に行う機能訓練も広い意味での矯正治療といえるでしょう。