マーガレットホテル342 | camouflage

camouflage

いつもの通り

夕べの聡は疲れ果てていた
綾奈は、もう一晩泊まる事にしていた

しかし聡は今日は京都まで行かなくてはいけないと綾奈を助手席に乗せた

私が運転しても良いんだよ
無理しないで…

ああ、途中で代わってと頼むかも
ちょっと行けるかどうかは分からないから

本当よ
代わってあげるから…

崖から落ちるのは、嫌だぜ

ああ、そういう感じかあ
悪い時の聡ね
良かったよ、世界陸上の時万全だったし

しかし、聡はさすがに元気がある訳ではなく、道の駅で運転を代わった
聡は、ぼーっと前をしばらく見ていた
そして、綾奈に話し出した


綾奈、高校の時、担任の先生に一度不調な期間があって相談した
懸命になり、先生に話した
そしたら、先生が
なあ、聡、人は何で生まれて来るのか分かるか?って言われたんだ

わあ、そんな事まで聞いてくれる高校だったの?

ああ、先生はいつもクラスの人間を見ていた
俺の不調なんて、すぐ気づいてたろう
先生に聞かれたが、答はわからなかった
そしたら、先生は
死ぬために生きるんだ!
負けるな
って言われたんだ
ちょっと考えたが
ああ、良い人生で良かったと言えるようにかな
って解釈した
涙が流れてきた
で、また立ち直ったけどね
良い高校に行けたよ

わあ…、格好いい先生…!
素敵じゃない!

ああ、だからあの先生に全幅の信頼を置いた
だから、俺は先生の言う通りにするべきだ
後悔してる時は、その言葉を胸に
だから、これで良かった

うん、良いじゃない
あなたの強さはそういう所から来てるのかも
オリンピック終わったら、ダウンして良いよ

バスタオルを巻いてから、彼女は窓から景色を見ていた

エプダ~

彼女は韓国語でそう呟くと、ベッドで眠っている相方を見た
寝せてあげようと無理はしなかった

彼女はしばらく外をゆっくり眺めていた

今日はイルカウォッチングか
楽しみだなあ

彼女は島原半島の方を見た
一度、雲仙の爆発と土石流には聞いたことはある
イルカウォッチングしてから、島原半島に渡る事にしていた
佐賀に行くなら、この近くからフェリーに乗った方が良いとの事だ
彼女は飽きずに、風景を眺めていた



で、新開たちは?
どうしたんだ?

監督はそう聞いた
赤水は言った

今回だけはどこにも行かず、眠るらしいです
相当悔しかったようで…

そうだな…
もう、あの3人選んで欲しかったぐらいで