マーガレットホテル239 | camouflage

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いつもの通り

秀俊は横浜駅まで、やってきた

よおし、秀俊、良い感じだ
お前は区間記録を塗り替える

監督の一番ガ瀬は、車の中から声をかけたていた

いい調子だ、いい調子!

一番ガ瀬は、それで喋れるのを止めた
少し観客を眺め出した

秀俊も、横浜駅にいる大量の応援の声に体を預けてみた

秀俊ーッ!秀俊ーッ!

あ、ギョンヨンさんだ!皆いる
鏡も
全員いるよ

ギョンヨンやチェヨンたちが必死に応援していた
ギョンヨンの応援は凄かった

秀俊は、ニコリと笑い、ギョンヨンたちに軽く手を上げて返答した


彼は軽く日本をいや、韓国のためにも走ってくれる選手ですね
サランヘヨ、とここでは言ってましたが、そのうち

ギョンヨンは興奮し

俺が韓国語教えるよ!

と、返答しチェヨンも微笑んだ

そう、僕も


そしてしばらく走ったら、韓国語のプラカードが秀俊の目の前に見えた

チェファだ
チェファがいた
韓国語で、秀俊サランヘ
と書いたプラカードを掲げていた

秀俊!

秀俊はチェファの方に寄って走り、チェファに

ナドサランヘ!

と大声を上げた

秀俊ーッ!好きよ!大好き!

俺もだ!

鏡は一瞬2人のやり取りを見た
あ、あの子だ
そして笑顔になった鏡だった

そして鏡はスマホを見たら、なずなからメールが来てるのを知った

テレビ中継のアナウンサーが見ていた

あのプラカード、何て書いてあったんですかね?
ハングルでしたけど、碓山さん

鹿島くんの重要なお友達であることだけは確かですね
私も良く韓国語は分かりませんが、鹿島くんに取っては彼女はミント味なんでしょう
2人が好き合っているのは確かですね

一番ガ瀬も2人のやり取りは見ていたが、韓国語で何と言ったかは分からなかった

好きな女の子なんだな、ハハハ

と、笑っていたが、秀俊のペースが跳ね上がった
1km2分54に上がった

秀俊ーッ!ペース落とせ、そんなペースで行かなくて良い!

もう、完走するだけで、青山学院は優勝するペースた

秀俊!馬鹿!抑えろ!無理するな!

と一番ガ瀬は監督車から、必死に秀俊に声をかけたが、秀俊は野獣にでもなったように飛ばしている

そして鶴見の中継点に着いた

一番ガ瀬は安堵した

秀俊がタスキを渡し終えたら、ストップさせて

お前、秀俊はもう…

と、言ったら、秀俊は言った


聡もそうじゃないですか、たまには僕にも

一番ガ瀬は、その答えに苦笑した

そうだな
大手町までのんびり来てくれよ
 
と2人のやり取りは終わった

監督は怪我を恐れて、注意してくれた

そう秀俊は受け取り、サポート部員と話をし始めた

早く大手町へ行こうよ

と、サポート部員に言った


解説の瀬本さんも、見ていたが

鹿島くんの大切な恋人なんですね
いやあ、愛する恋人と、こんな場面でコミュニケーションをするなんて、こっちまで嬉しくなるじゃないですか
いやあ、大切な事ですよ
僕も嫁さん大手町に来年から来て貰いましょうかね
鹿島くんは恋愛すると強くなるタイプですね
青山学院は恋愛を力に変える選手が多いって事ですね

と早口で話していた、にこやかに



聡たちは大手町にいた
OBの人に肩を叩かれ、握手をされ、喜んでいた

三ツ境、青山学院の黄金時代がやってきた
お前らが良く頑張ったおかげだ
俺も何と言ったらいいのか…

その人は、声をかけながら泣いていた

数人釣られて泣いている

いや、先輩、まだ油断しちゃいけないですよ
まだ、ゴールには辿り着いていません
頑張って応援しましょう、お願いします

聡はまだ浮かれてはいなかった
じーっと画面を見ていた

綾奈も浮かれてはいなかった
静かに戦況を見つめていた

もう2位の選手と青山学院は、25分離れていた

スタジオ解説の碓山さんは

一番ガ瀬監督は大変なチームを作り上げましたねえ
このような事態になるとは想像してませんでした

と、腕を組んで真剣に見ていた





青山学院のアンカーは青物横丁に辿り着いていた
大変な人垣ができていて、彼に声をかけ優しい言葉をかけている
アンカーの選手は、安心して走っていた

一歩一歩、確実に行きます

彼は心の中で、多くの観衆の人々に返答していた