「問題。孟子の母は…」
ゴトー先生が、流れるような手捌きでボタンを押した。
「孟母三遷の教え!」
「正解!ピンクチーム優勝!」
悔しがり解答席で頭を抱え込んだタケヒロに、ゴトー先生は、
「僕の勝ちだよ、タケヒロくん。さあ、東門での事を詳しく話しなさい!」
と勝ち誇って言った。
「い…、嫌です!」
タケヒロは、そう言って解答席から逃げ出した。
そしてまたゴトー先生は、タケヒロを追い掛け始めた。
「何をやってんだ、あの二人は…」
シゲさんは、狐に摘まれたような顔をして二人を眺めていた。
村では村長選挙の公示日となり、街中にポスターが貼られていた。
「た!大変だ!シゲさん!」
「何だ、どうした」
赤いはちまきをした漁協の人がシゲさんを街中にひいていった。
「な!何だあ?こりゃあ!」
見ると候補者掲示板の中に ゴトー先生とタケヒロのポスターがあった。
「ゴ…、ゴトーが立候補?!タケヒロは、中学生なんだぞ?選挙に立候補できるのか!?」