マーガレットホテル068 | camouflage

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いつもの通り

熊谷監督は最近機嫌が良い
指導法に確信を持ったから

昨日新記録を達成した聡、秀俊は休みにした
熊谷監督が機嫌良いと、コーチや部員たちも感化され
特にあの2人が、一年生ながら記録を打ち立てた事もあり
自分たちも負けてられないという気持ちになる
練習に熱が入る


「で、小栗祐平っていう、好記録出した高校生いたじゃない。行く先は?」

「剣山の中腹の高校に移ったようです。全寮制の高校です」

「何でまたそんなとこに」

「何か、はっきりしませんが、陸上はやっているそうです」

熊谷監督と三好は、祐平をスカウトし、青学大の長距離ブロックに連れて来ようと言う話もしていたが…




聡は休みで、ついで綾奈は、今日は体調が優れないという事で休みを取る

レンタカーを借りて、軽く逗子鎌倉方面へやってきた
綾奈の運転である
聡はまだ持っていない

「練習が大変で逗子とか行く気にはなれなかったなあ」

「いや、練習を毎日こなしていた結果が、日本記録達成だよ。ついでに江ノ島まで行こうか」

綾奈は持ち前の粗雑な運転癖が出た感じになっている
聡にはそれが恐怖だった
出来るだけ話をして綾奈が楽しく運転出来るようにしたいが、今日は昨日力走した結果、話題が浮かばない

「九州は道広いけど、関東は狭いね。結構ギャップに苦しい」

綾奈が少し苛立っている
いつもなら、気遣いが出来るのだが…

「ああ、あれが江ノ島か。大学の遠い先輩が歌う」

「ああ、●●●ね。♪心から好きだよ、チャコ、抱きしめたい。っていう歌は最後裸になって泳ぐんだっけ」

「俺も良く知らないが。そんな歌詞なのか?猥褻物陳列罪で捕まるな。昼の1時から裸で泳いだら。それにそんなにやらなくてもいいだろ。とにかく江ノ島で降りようぜ、疲れたろ綾奈は」

車を降りたら、聡が綾奈にストレッチさせて筋肉をほぐさせた
無理もない、レンタカー借りてから綾奈はひたすら運転していたので

2人でレストランへ行き、聡はドリア、綾奈は明太子パスタを頂いた
食べて聡が、俺が出すからと言い、江ノ島へ歩いていたら

「写メ、撮りまくろうぜ。動画でもいい。YouTubeに出すか」

「ははは、出してどうするの。恥ずかしい。私そんなに可愛くないよ」

聡は真面目な顔になった

「いや、可愛いぜ。本当に。中身もいいし」

「え…」
 
聡と綾奈は一瞬静かになり
どちらとも無くキスをした

昼の江ノ島にて
観光客の人々は、キスする2人を見ながら歩いていた







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