今日の午後は100メートルダッシュだった
スピードを身につけるための
少しカラオケでもやるか、と夕食の時に監督コーチ陣で決めて、熊谷監督は酒が入った
三好コーチがまずトップで歌い出した
「♪ナンバーワンにはならなくてもいい」
三好コーチの十八番のようだった
熊谷監督は少し頭に来て聴いた
三好コーチも酒は入ってる
「♪オンリーワン♪」
「うっせえ!黙って歌え!」
熊谷監督に三好コーチは飛びかかろうとした
「いつも同じ歌ばっかり。たまには他の歌え!」
上級生部員数名と赤水コーチが止めに入った
聡の隣に座っている、細貝という先輩が、聡に
「熊谷監督と三好コーチは酒癖悪いからなあ、見てみろビール瓶が散乱してる。お前らハタチになっても酒は止めとけよ」
聡は笑って
「そうします」
と、返した
「俺、カラオケボックス行った事ないんだよ。どうすればいい?」
と、聡に秀俊が聞いた
珍しく動揺していた
「ん?適当に恋するフォーチュン何とかでも歌えばいいじゃん」
「そんな歌知らないよ。何かないか?」
「お前、AKB48って知ってるのか?」
「いや、知らない」
次は新開が、スーパーベルズの名鉄犬山線を歌う
「すごいなあ、あいつ本当に車掌っぽくラップしてやがる。ここはバスオタとかそんな奴ばかりだな」
聡が新開を見て、次に綾奈を見た
綾奈は必死に鏡たちとぶ厚いリストを見て歌を探していた
奇をてらわなくてもいいから、何か適当に歌おうっと
聡はそう考えて曲リストを見ていた
「♪蔦の絡まるチャペールで、祈りを捧げた日」
聡はペギー葉山という方の学生時代なる曲を歌っていた
「おお、青学をモチーフにした歌だ。良く知ってたな」
「さすが青学生」
新開や秀俊たちはなるほど、と思った
多分1960年代の曲だと思われる
「♪学生時代ー」
熊谷監督が
「いいぞ、三ツ境!俺も青学出身の端くれだ。みんなで輪になって肩組んで合唱するぞ!立て!」
と、言い出し肩組んで続きを合唱した
「しかし明日も練習があるっていうのに、熊谷監督の大丈夫かな」
秀俊は泥酔している熊谷監督を見ながら、
不安に思った
ストレス、やっぱりあるんだな
そして翌朝を迎え、顔を洗っていたら
熊谷監督が夕べのツケが来て、苦しそうに吐いていた
「おはようございます監督」
聡が挨拶したら、熊谷監督は苦しそうに
「もう、酒は止めないと。苦しい」
と、言ったあと、また吐いていた
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