
002 春のソナタ(2)
「あーい。このバスは太宰府東高校経由内山行きです。途中お降りの方はお知らせください」
綾奈と鏡は バスの後方に座っていた
「あのバスの運転手さん尾形さんっていうんだ」
綾奈は運転席の後ろにある名札を見て言った
「綾奈、そんなのに反応するの止めなよ。それが恋を遠ざけてる理由かも」
鏡は前に座っている男子に話しかけようとした
鏡は 男子を先に行かせ 綾奈の手を引っ張り男子の後ろの席に座った
「ねえ君。どこの高校?」
男子は無視して 窓の外を見ていた
綾奈は危機を感じた
…や、やばい!こんな肉食系女子に彼が喰われるなんて
「次は太宰府東高校です」
男子は 車内アナウンスが終わると同時にブザーを押した
「同じね。あたしたちと。バス代あげる。五円玉集めたんだけど」
男子は聴こえない降りをし さっと席を立った
綾奈は 彼が 鏡の毒牙の餌食になるのを防ごうとした
…何なんだろう。この気持ち