第二百十弾「鋼鉄の夢、永遠の想い その14」の続きです

 

 

第二十一章 魔導師の原罪 ―後編―

村の維持は難しく、
村人は皆、町に移住することになった。
ダミアンは絶望したものの、
他の村人と共に町に移住した。

だが――
町での村人の生活は、非常に苦しかった。
まともな仕事に就けなかった。
フリーの冒険者になる者も多かったが、
魔物退治で命を落とす者が多かった。
それ以外は、建設土木作業や清掃など、
町の人がやりたがらないような仕事しか回ってこなかった。
ダミアンは、両親の残したお金を少しずつ生活費に当てた。

だが――
町の荒くれ者に奪われた。
信じていた村人にも裏切られた。
徐々に、お金は減っていった。
それにより両親が望んだ進学は出来なくなった。
同時に、村人を含む他人に対する信頼度も減った。
結果――
ダミアンは、誰も信じられなくなった。

それと比例するように、
ダミアンの魔力はどんどん向上していった。

怒り。
絶望。
憎しみ。
それらが、力になった。

前世での恨み。
この世界での悲しみ。
それら全てが、魔力として蓄積されていき
ダミアンは冒険者として、名声をどんどん上げた。
魔物を倒し、依頼をこなし、報酬を得た。
だが、心は空虚だった。

「誰も、信じない」
ダミアンは誓った。

「もう、誰も」

周囲から勇者と言われるようになった頃――
村の奥地に、災害級の巨大な魔物が出現した。
流石に冒険者や警察では対処が出来ずに
王国軍が派遣された。
だが、それでも魔物に太刀打ちできなかった。
そこに、王国の虎の子であるガーディアンが投入された。
ダミアンは、ガーディアンを初めて見た。
巨大な人型の兵器。
魔法と科学の融合。
そのガーディアンは非常に強かった。
だが、魔物と互角で、退治し切れなかった。

「……やってやる」

ダミアンは前線に出た。
そして、魔法を放った。
超高位魔法。
複数同時展開。
圧倒的な火力。
魔物は、消滅した。

これにより、ダミアンは国王に招聘され

報奨された後に王国の魔導師団に入ることになった。

「ダミアン・マクシミリアン。
お前の力を、この国のために使ってほしい」
国王は言った。

「……わかりました」
ダミアンは頷いた。

だが――
そこで、ダミアンは階級差別に晒された。
魔導師団の多くは、貴族出身だった。
彼らは、平民出身のダミアンを見下していた。

「所詮、田舎者か」

「魔力だけは強いが、品がない」

「我々と同じだと思うなよ」

陰口。
嘲笑。
露骨な差別。

ダミアンの強大な魔力は、仲間と敵を作った。
仲間になったのは、同じく平民出身の魔導師たち。
敵になったのは、主に貴族たち。
彼らは元々、平民を見下していた。

そして――
ダミアンを慕ってくれた仲間が、理不尽に左遷された。

「なぜだ!」

ダミアンは上官に詰め寄った。

「彼は優秀だ! なぜ辺境に飛ばす!」

「命令だ。従え」

「……!」

その後も、次々と仲間が消えていった。
あらぬ罪で捕らえられ、処刑された者もいた。

「やめろ! 彼は無実だ!」
ダミアンは叫んだ。

だが、誰も聞く耳を持たなかった。

ダミアンの中で、何かが切れた。

「もう、いい」
彼は呟いた。

「もう、たくさんだ」

その夜――
ダミアンは魔導師団の本部に乗り込んだ。

「ダミアン! 何をする気だ!」

「お前たちを、許さない」

ダミアンの魔法が、炸裂した。

火。
水。
土。
風。

木。

白。

黒。
全ての属性が、同時に展開された。

魔導師団は、抵抗した。
だが――
ダミアン一人の魔力が、全てを上回った。
魔導師団は、全滅した。

ダミアンは逃亡し、王国軍が彼を追った。

だが――
ダミアンの魔法は、
既に一国の軍隊で止められるものではなかった。
数千の兵士が、ダミアン一人に敗れた。
ガーディアン部隊も投入された。
だが、ダミアンは全てを破壊した。

「もう、止まらない」
ダミアンは言った。

「誰も、俺を止められない」

それにより、複数の国家による連合軍が編成された。
ダミアンを討伐するために。

だが――
それでも、太刀打ちできなかった。
ダミアンの魔力は、もはや人間の域を超えていた。

「化け物だ……」
兵士たちは呟いた。

「あれは、人間じゃない……」

ダミアンは、最終的に生まれた村の奥地の
大森林に建っていた古城を見つけた。
廃墟となった、古の城。
彼はそれを再建した。
魔法で。
一人で。
そして、そこに住んだ。

「ここが、俺の城だ」
ダミアンは宣言した。

「誰も、立ち入らせない」

王国は、その地域を不可侵地区として指定した。
以降、ダミアンに手を出す国家は無くなった。

世界最強の魔導師。
孤高の存在。
誰にも愛されず、誰も愛さず。
ただ、一人で生きる。
それが、ダミアン・マクシミリアンだった。

そして――
孤独な城で、ダミアンは考え続けた。

「力を得ても、何も救えなかった」

両親。
先生。
仲間。
全てを失った。

「ならば……」

ダミアンは決意した。

「永遠に生きよう」

「永遠に力を保とう」

「そうすれば、二度と失わない」

それが――
転生実験の始まりだった。

――続く――