よく映画やドラマで拳銃を向けられた人が
自信満々に「撃てない」という場面があって
大抵 撃たないで終わるんですよね
自分は毎回「撃てばいいのに」って思います
立場が悪い時によく相手の弱み
と思われる点を突いて逃れる事があるけど
それでも強行しないと状況は好転しないんですよね
映画やドラマでもこういう状況の後は
大抵 状況が更に悪化していき
結果的に最初の状況よりかなり悪くなるのに
悪化した時よりはマシと
無理やりハッピーエンドだと纏めます
それっておかしくない?
あの時に撃っていれば
もっと状況はよかったのに・・・
ある意味 脚本のテクニックなのかもしれませんが
沢山使われ過ぎてもう別の展開にした方がいいと思います
# 信頼の代償
廃ビルの一室で、二人の女は向かい合っていた。
窓から差し込む夕陽が、
埃の舞う空気を赤く染めている。
片方の女——黒いジャケットを着たミサキは、
右手に拳銃を握り、相手に銃口を向けていた。
狙われているのは、白いブラウスを着たアヤノだ。
彼女は壁を背にして立ち、ミサキを見据えている。
恐怖の色は見えない。
むしろ、その瞳には確信めいたものが宿っていた。
「あなたは私を撃てないわ」
アヤノが口を開いた。
声は静かだが、力がこもっている。
「あなたの彼氏の秘密を私が暴露したら、
あなたと彼も破局よ。それでもいいの?」
ミサキの指が、わずかに震えた。
アヤノはそれを見逃さなかった。
「タカシは過去に——」
「黙れ」
ミサキが低く呟いた。
だが、銃を下ろすことはしない。
沈黙が流れた。
二人の間には、三メートルほどの距離がある。
それは、信頼と裏切りの距離だ。
「それでも話しなさい」
ミサキが言った。
その声には、諦めにも似た決意が滲んでいた。
「そうしないと、
みんな立ち止まったままで先に進めない。
あの事件の真相を知っているのは、
あなただけなんだから」
アヤノの表情が歪んだ。
「私が話したら、あなたは何もかも失うのよ?
あなたの大切な人も、築いてきた信頼も」
「それは私が決めること」
ミサキの手から、震えが消えた。
銃口は、アヤノの胸を正確に狙っている。
「話せ。誰が本当にあの夜、渋谷の倉庫にいたのか。
誰があの取引を仕組んだのか。そして——」
ミサキは一瞬、言葉を切った。
「誰があの子を殺したのか」
アヤノは相手を睨み返した。
数秒の沈黙の後、彼女は口角を上げた。
「それでも、あなたは撃てない」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに——
銃声が鳴り響いた。
乾いた音が廃ビルに反響し、窓ガラスを震わせた。
硝煙が立ち上る。
アヤノは肩を押さえて床に崩れ落ちた。
致命傷ではない。
だが、
その目には明らかな驚愕の色が浮かんでいる。
ミサキは拳銃をホルスターに仕舞いながら、
倒れた女に背を向けた。
「相手を信じ過ぎるのはよくないね」
足音を響かせながら、彼女は部屋を出て行った。
後には、肩を押さえて呻くアヤノと、
夕陽に染まった血痕だけが残された。
廊下を歩きながら、
ミサキは携帯電話を取り出した。
「終わった。話すそうだ。救急車を」
彼女は電話を切り、ビルの階段を降りていった。
信頼と裏切り。真実と嘘。
その境界線の上で、彼女は引き金を引いた。
そして、ようやく物語は動き始めた。