いままでは



いつもわたしの前を歩いていたリョウちゃんが、



ゆっくりと歩くわたしの一歩後ろを歩いている・・・・



うしろからずっと話しかけてきている・・・・・




いつもなら、



リョウちゃん・・・ねぇリョウちゃん・・・って



わたしがリョウちゃんの背中を追いかけながら話しかけてきたのに・・・・




『うん』としか答えないわたしに、




それでもリョウちゃんの話が途切れることはなくて、



食事をする為に入ったお店でもずっと話していて



なにも無かったかのように笑顔で楽しそうに




他愛のない話をいつもの何倍も何倍も喋るリョウちゃんだった・・・・・




この時わたしは


こんなに一人で喋り続けるリョウちゃんを初めて見た・・・・・




『ねぇリョウちゃん・・・



あのね・・・・』




わたしは、喋り続けるリョウちゃんの話しに割って入った・・・・



このお店を出たら



家までには数分しかない・・・・



もう言い出さなきゃ・・・



別れる・・って言わなきゃ・・・・



気持ちなんてはっきりと決まっていないのに、


自分の気持ちさえもわからないのに、



別れるって言わなくちゃと、


なんだかとても焦っていた・・・・




わたしは



大好きだったリョウちゃんとツライ話し合いをするのを避けていたのかな・・・・



ジュリさんとのことを聞いてまた傷つくのが恐かったのかな・・・・



この時、


一方的に、別れると言ってしまおうとするズルイ自分がいた・・・・




『ん?



てか俺の話きいてよ



いま俺が話してんだからさ(笑)


聞いて聞いて!



でさ・・・・』




わたしの話なんて聞いてくれることもなく



そのままリョウちゃんは話し続けていた・・・・



いつもなら、わたしの話もちゃんと聞いてくれるのに・・・・・



黙り込んでうなずく事もしなくなったわたしに、




リョウちゃんは顔を曇らせ軽くため息をつき話し出した・・・・






『・・・・ユイ、ごめんな



ユイが言いたい事はわかってるよ・・・


わかってるけどさ・・・


俺、怖くてお前の話が聞けないんだよ・・・


お前の性格は俺が一番わかってる・・・


口に出したらお前は絶対にそうするだろ・・・・



俺・・


聞きたくないんだよ・・・



俺が悪いのにな・・・



バカだよな俺・・・・・』




そう言い


肩を落としリョウちゃんは下を向いてしまった・・・・





聞きたくないから・・・



わたしが別れを告げようとしていたことをわかってたんだ・・・・




だから、


わたしが話し出す隙もないほどにあんなにずっと喋っていたんだ・・・・




いつも強いリョウちゃんが




小さな声でそんな悲しそうに言わないでよ・・・・



リョウちゃん・・・・・



もうそんな姿見せないでよ・・・・・



またわたし何も言えなくなっちゃうよ・・・・




そんなリョウちゃんの姿を見て



何も言い出せなくなってしまったわたしには



リョウちゃんを想う気持ちがまだあったのかな・・・・・





それからの家までの帰り道




リョウちゃんがわたしの手をつなぎ



わたしが手を離そうとしても



それでも強くにぎりしめ



わたしの手を引き無言で歩いている・・・・・





どうして今度は黙っているの・・・・・




リョウちゃんは今なにを考えているの・・・・・・




黙っていたら


女のわたしには男の人の気持ちはよくわからないよ・・・・・




前までのわたしだったら



リョウちゃんの事が少しはわかったのかもしれない・・・・




でも



すべてを知ってしまった今のわたしには




リョウちゃんの心を見ようとしても




霧がかかってしまったようにかすんで



はっきりと見えないよ・・・・





さっきの言葉も



落ち込む姿も




それは本当のリョウちゃんの姿なの・・・?



それは本当の心なの・・・・・?



わたしにはわからなくなっちゃったよ・・・・・・




このとき



リョウちゃんの言葉も態度も



信じる事ができなくなってきている自分がいることに気づいた・・・・・