惜しむ別れ。
人生には必ずいくつかある。
そしてそんな別れは辛いものである。
ずっとやり取りをさせて頂いていたブロガーさんが
長く続けてきたブログを卒業する事にしたそうだ。
その方のブログは常に冴えていた。
とにかくバランス感覚が優れた方だった。
もちろん左派ではない。
されど保守でもない。
これが実に大切なバランスなのだ。
左派は論外として、ネットをあちこち巡ると保守の方の記事を見かける。
多くの保守は「戦争になったらボクも自衛隊に入って戦う」とか
「徴兵制を敷くべき」などと言う意見を目にする事が多い。
我々からすると複雑だ。
確かに人数も少ないし予算も少ない。
しかしこの時代、グラマンやB-29は飛んでこない。
核弾頭のミサイルが飛んできてピカッと光っておしまいなのだ。
自衛官または自衛官OBなら賛同してもらえるはずだが
素人が入隊して、基地の柵の中にある隊舎の警備に就かせたとする。
基地の中にある建物の警備など安全が約束されているようなものだが
その警備を上官から小言を頂戴しないように育てるだけで半年以上は掛かるのだ。
つまりは、気持ちは買うし愛国も大いに結構だが、ハイポート走(約5kgの小銃を両腕で高く持ち上げたまま走ること)もできないなら要りませんって事である。僕入ります!でどうにかなるほど甘くはない。
自衛隊をなめてもらっては困る!と思ってしまう。
しかし、その方は決してそのようなブロガーではなかった。
もちろん海自のファンであるが、事あれば足繁くイベントに足を運び
そして我々の装備だけではなく、隊員の声に耳を傾けては疑問や意見を綴ってくださっていた。
たかがブログ されどブログ
わからないことがあれば即座に質問してくださったので、こちらも教えられる限りお答えさせていただいた訳だが
それも余すことなく記事にくださり、とても感謝に尽きぬ想いでいっぱいだ。
閉じてしまう理由は色々あるようだ。
他人の私が詮索するのは野暮ってなもんだ。
世の中に数多くいるブロガーの中で、あれほどまでにバランスが良い思想信条で、記事を綴れる者は居ないだろう。
そして、今後も現れないだろう。
2009年10月01日
この日に初めて先方に御伺いし、それから月日は流れた。
その間に、国防について、沢山のお話をさせていただいたが、どれもこれも実に思い出深い。
そして、装備ばかりでなく、それを動かす者への気遣いあふれた記事に心から感謝している。
実に残念だ。いや、無念だ。
自衛隊。特に海自は痛手である。
ファン層はそこそこあれど、OB以外の者で、隊員の処遇を憂い、記事に綴ってくれる方がいないからだ。
護衛艦を見に行きました。かっこいい。
大概はそれで終わりなのだ。
そんな木を見て森を見ずのような形ではなく
自衛隊のためならと意見を述べて世に問いつつ、懸命に綴り続けたその功績は大きい。
我々は一生頭が上がらないでしょう。
だからこそ、とても残念である。
片翼を失う想いである。
ただ1つ願うならば、その方の今後の御活躍と御健勝である。
またいつか、帰ってきてくれると信じたい。
いや、信じている。
さらば。
友よ。同じ志の下に生きる同士よ。
惜別の想いを込めて、暫しの別れの言葉とする。
国を,真剣に憂いでくれて
自衛隊を心から憂いでくれて本当にありがとう。
Akkey