私は馬が好きです。
子供の頃、乗馬をやっていました。
馬は頭のいい生き物で人を見ます。
そして、信頼が生まれると人さえ庇う生き物です。
馬は人に仕えて生きてきました。
時に農耕に、そして荷物や人を運び
長く人間の役に立ってきました。
私は競馬が好きです。
しかし、賭け事はやりません。
ギャンブルで蔵を建てた奴などいませんから。
皆さんは競馬と言うとどんなレースを思い浮かべますか?
きっと緑のターフ(芝)の上を走る馬
そして、カラフルな勝負服に身を包んだ騎手などを思い浮かべる事でしょう。
そう。多くの人は競馬=平地競走なんです。
日本の競馬は年々、世界との格差が縮まっています。
スピード化が推し進められ、2000mを超えるステイヤー戦が減少しました。
その影響もあり、レースの見所である「騎手同士の駆け引き」も薄れてきてしまいました。
競馬は好きだと仰る方も、あまりご存知の方がいらっしゃらないレースがあります。
それは障害競走です。
中央競馬には障害物を越えていく競走があるのです。
と言っても、開催日(土日)に多くて2レースしか行われないので目立ちません。
過去には廃止にしようと言う動きもあり、我々ファンは猛反発した経緯もあります。
私は祖父が競馬ファン(障害戦)でしたから、小さい時から春と冬の大きな障害戦がある日には
中山や東京競馬場に連れてきてもらっていました。
その影響もあり、大の障害戦フリークになりました。
実は子供の頃、障害戦の騎手になりたいと心に秘めておりましたが
小学校6年ですでに身長は165cmを超えたために泣く泣く断念した経緯もあります。
憧れは変わらず、今でも大ファンでありますが
障害レースはファンが実に少ないんです。
障害なんて馬術で充分だとか、落馬があるから馬券は買いたくないとか。
レースに出る馬はサラブレッド。(過去にはアラブの障害もあった)
平地(普通のレース)で勝てない馬が、障害の適性を見込まれて入ってくる世界でもあります。
つまり、生存競争をかけた最後の戦いの場が「障害レース」でもあるのです。
私は障害戦を人生になぞらえます。
次々に障害を飛越し、5mの谷を上り下りしていく姿に、人生の禍福を思い浮かべるのです。
本日は子供の頃から見てきた数あるレースの中から
1番のお気に入りの馬と、1番大好きだった騎手のコンビが出走した「中山大障害」をご覧頂きます。
愛して止まないその馬の名は「シンボリクリエンス」
そして鞍上は「大江原哲」騎手。
このコンビがなした2着との差8.6秒
約50馬身もの大差をつけて勝った伝説のレースをご覧下さい。
1992年「農林水産省賞典 中山大障害・春 芝4100m 8頭立て」
※シンボリクリエンスはゼッケン4番の青い帽子
実は私、この約1年後に都内で、この鞍上の大江原騎手と出会ったんです。
お世話になっていたヤクルトの宮本賢治投手(現・スワローズ編成部育成担当)の
通算50勝記念パーティーが都内のホテルで開かれたのですが
その席に若干19歳の若造であった私も招かれました。
そこに大江原騎手は同郷の後輩である「江田照男」騎手を引き連れてお見えになっていたのです。
偶然も必然も運命とはこんなもの。
沢山、想いが詰まっておりました故に、サインや写真撮影をお願いし
障害戦のお話を聞いたり、お手馬だったライバコウハクの話(感動モノのため、後日ご披露します。)をじっくりお伺いしました。
今は調教師になられて活躍をされていますが、いまでも大好きなお人です。
さあ、今度の土曜日25日。いよいよ中山大障害が行われます。
テレビでも中継がありますが、ぜひ皆さんにご覧頂いて
馬と騎手が命懸けで障害に立ち向かう姿をみて、勇気を貰って欲しいと願います。
数ある障害戦の中でも日本で一番難しく
スピードだけでもスタミナだけでも
飛越の巧みさだけでも運だけでも勝てない競走
きっと何かを感じてもらえるはずです。