恐怖のイタズラ | 若狭勝也『SMALL WORLD』

若狭勝也『SMALL WORLD』

KAKUTAの俳優、若狭勝也のブログ。

腰が抜けた人間を初めて見た。


腰が抜けたとは、比喩ではない。本当に抜け落ちる。

あの夜、笑いと驚きと恐怖と反省と謝罪が渦巻いた・・・・・・。


もう許されてるよね・・・。


今から8年前くらいだろうか?

現在は妻となった彼女に“イタズラ”をしました。

あ、ブログでは全く書いてませんでしたね。


昨年10月に結婚しました。

※こんな感じ→http://youtu.be/B4vETe-Flv0

※上記の写真付き→http://www.youtube.com/watch?v=lGOf-JbdZ8A

※そして男たち→http://youtu.be/5r3g9RJrLxw


当時、明大前で暮らしてまして、駅からアパートまで二人で向かってました。

・僕は、自転車で。

・彼女は歩きで。


僕だけ、家に着く前に近くのコンビニで買い物があり、

彼女は“先に歩いて”アパートに向かう事になった。

僕はコンビニに入ってすぐ、買いたいものが売ってなかったのが分かり、後から自転車で家に向かう事に。


ここで、イタズラをしようと思いついた。

お互いアパートのカギは持っている。


僕は、回り道をして、ダッシュでアパートに向かった。

自転車なので僕の方が絶対先に着けると確信して、ニヤニヤが止まらなかった。

そこからは、ミッションインポッシブルトム・クルーズのように素早く的確に、音も立てずに静かに動いた。

凄まじい集中力だった。


自転車を全速力で漕ぎ、曲がり角の手前でブレーキして、曲がりきる手前で安全の確認が取れると、またダッシュ。アパートに着いた。

まだ彼女は帰ってない!

近隣に迷惑にならないように、音を鳴らさず自転車を駐輪場に入れ、足音立てずに2段飛ばしで階段を駆け上がる。

鍵を静かに素早く開けて、アパートに入り、鍵を閉める。

ちょっとだけ電気を付けて、布団の位置を確認し、すぐにまた電気を消す。

そして、布団の中に普通に入り、静かに呼吸を整えた。


後は、待つだけだった。

狭いアパートだったので、玄関に入りすぐに横を向けば布団がある。


彼女が帰ってきた。階段を登る音がした。

僕が、まだ“コンビニに居る”と思っている。


鍵の開ける音がした。帰ってきた!

彼女は部屋に入ってきた。

当然、部屋は真っ暗だ。

何故なら、若狭はコンビニに居るんだから。


玄関で靴を脱ぎながら、電気を付けた。

ドアのカギを閉めて・・・・・・、

1歩部屋に入り・・・・・・、

横を見た・・・・・・。


静寂の瞬間だった。


1秒もなかったかもしれないが、長い長い静寂だった。

世の中の全ての音が消えて、音が全くない“音”が聞こえてきそうだった。


まず何か異変に気付いたようだ。

彼女「ん・・・?」

静寂が始まって2秒は経過しただろうか?


・・・・・・。


彼女「はあああっ!あ、ああああああああ・・・・・・。」

と、後半は、低いうめき声のような声をあげて、声も出ず、

膝が折れ曲がり、立てなくなり、少し後ろに座り込んだ。

テレビドラマにあるような「キャーーーー!」なんて叫び声なんてない。

恐怖で、悲鳴もあげれない。


何が起こっているのか?!

家に帰ったら、おっさんが居る。

居るどころじゃなくで、普通に布団で寝ている。


刃物を持ってるなら、まだ想像範囲で、キャーー!だろう。


しかし、おっさんが勝手に“普通に”布団で寝ている。

何が起きてるのか?何が起こるのか?どういう経緯でそうなるのか?

全く想像が出来ない。

想像が出来ない、恐怖。


もう一度言おう。

若狭はコンビニに居る・・・はずだ。

僕は、慌てて布団から出て、

若狭「ごめんごめんごめん!」

を繰り返した。


彼女は僕だと既に気が付いているのに、瞳孔が開きっぱなしで、

僕を見つめたままだ。


若狭だ。でも若狭はコンビニに居る。

若狭に似たおっさん?

双子?それとも・・・・・・幻覚?

知らないおっさんが、近づいてきて、

なにやら「ごめんごめん!」と言っている・・・・・・。


若狭と認識できるまで、5秒くらいかかったろうか。

すぐには分からない。

5秒かけて、ひとつづつ、ゆっくりと若狭だという事を確認する。

その間、瞳孔が開きっぱなし。まだおっさんの可能性0(ゼロ)じゃない。

ようやくイタズラと気が付いたが、

怒るとか、泣くとか、驚いたとかじゃなかった。

声もあげない。

とりあえず、呼吸と鼓動をゆっくりにするのでやっとだった。


非常に反省し、謝りまくったが、

申し訳なかったけど、謝りながら、僕の笑いは止まらない。

なんとか笑うのを堪えて、彼女の呼吸を整えるために、

彼女の背中をさすり続けた・・・・・・。


こんな酷い男と、よく一緒になってくれた。

ありがとう。ごめんなさい。


でも、ちょっとした、イタズラよ☆