ティーカップ





部屋とYシャツと私、みたいなタイトルから。

いつもは珈琲を時間をかけて淹れて飲むのですが、

今日はたまには、紅茶に、魂込めて淹れてみようかな、

と思い立ち、紅茶を飲みました。

で、ふと思い出した20代の紅茶にまつわる思い出・・・

ただただつらつらと書きたくなりました。





私が20代の時の話です。

友達がうちに来る時に「知り合いの男性も連れてっていい?」

って言うもんだから、「いいよ」って言って

私の知らない男性も家に来ることになりました。

会社で知り合ったちょっと変な人、ということで。

その時は、今と違って割と広く交友していたので、

そういう方もウェルカムでした。





スーツを着て、銀ぶち眼鏡をかけた、見た目超インテリな男性。

そして、声優か?というくらい、彼の低音の素敵な声は、

なんだか目をつむって聞いていたい、と思えるくらい

セクシーな声。でも顔とのギャップで現実に戻されました。

実家は田園調布でナンチャラカンチャラとか言っていました。

なぜこんな片田舎に田園調布のおぼっちゃまが来たかは、

聞きませんでしたが。





で、その男性、ケーキを買ってきてくださったので、

「私は、珈琲と紅茶どちらがいいですか?」と聞きました。

友達は「コーヒー!」と元気に笑顔で答えたので、

私は、「あ、Aちゃんは珈琲だったよね。」と答えて、

私はその男性に「Bさんは何がいいですか?」と聞いたら、

「珈琲なんて、あんな泥水みたいなもの、よく飲めますね?

私は紅茶で。」とマジ顔で答えました。





泥水って・・・汗

表現が・・・






彼は紅茶マニアだったようで。

田舎では男性で紅茶が大好き、なんて人

いなかったものですから、すごく不思議と思いました。





茶葉の種類やらお湯の注ぎ方やら、カップの形やら

温度だとか軟水がどーだのこーだの、蒸らす時間やら

ジャンピングだかホッピングだかわかりませんが、

うんちくをタラタラタラタラタラタラ・・・・・と

長々と語り出しました。正座して聞いていました(笑)





当時の私は、紅茶の知識ゼロ!

今となっちゃ、お客さんを招く立場なので、

その時言っていたことが少しは分かりますが、

当時20代だったし、自分のはリプトン紅茶のティーパックですよ。

お客さん用に茶葉は一応ありましたが、スーパーで売っている

テキトーなやつ。





こんだけ紅茶マニアなら、出した紅茶が「まずい!」とか

普通に言われるな、と思ったので、

「Bさんのお口に合う紅茶、うちにないかもです」と言ったら、

「心配ご無用!」と言って、

ビシ!とマイ紅茶をカバンから出しました。

「スーパーで売っているのとか紅茶じゃありませんから」とまで

言い放ちました。





ああ、いろんな人にこの人は嫌われているだろうな・・・

人への配慮とか優しさとか、言葉遣いとか

ことごとく欠如している・・・とは思ったのですが、

もう、私の好奇心はウズウズして彼に対する興味が湧いてきました。

多分、友人のAちゃんはそれを知っていて、連れてっていい?

っていたのだと思いました。





一通り紅茶レッスンを受けさせられてから(笑)

ポットと茶葉を用意してお湯を沸かしました。

お湯を沸かして、ピーーーーー!という沸騰の合図をして

消しに行ったら、大声で「まだ消さないで!!!」と言われ、

ビクン!!として思わず、「はい!!」





彼はそこから低い声で、

テン、ナイン、エイト、セブン・・・・と

いい発音の英語でカウントダウンし始めました。

声がいいけど、キモい・・・(笑)

そして、スリー、ツー、ワン、ゼロ・・・





止めてっ!





・・・とビクン!とするくらい大声で言いました。

普通に言ったって、聞こえるっつーの!!

軽くイラっときましたが、ここは耐えて、

何とかことを済ませます。





彼は、うちのポットの形にも、

ティーカップにも不服だったようで、

終始ブツブツ文句を言っていましたが、

マイ茶葉にお湯を注ぐ時、真剣な眼差しと端々にこぼれ落ちる

喜びと嬉しさと、茶葉に対する愛情のようなものがあふれる

微妙なキモい顔をしながら(笑)茶葉をポット内で

ジャンビングさせながら、かつ

彼のハートもジャンピングしていたと思います。












そして、彼は私に自分が淹れた紅茶を差し出し、

「飲んでみて」と言いました。どっちがゲストかわかりません(笑)

私は、一口紅茶を含みゆっくりと口の中を一回りさせ、

空気を鼻から出しながら、紅茶の香りも共に味わいました。





彼は、「どお?」と私に聞きました。

私は正直何もわかりませんでして、

しかし、そこは優しさの調味料を加えて、




「スッとして、すごい美味しいです」





「スッ」ってナンノコッチャ?とか自分でも突っ込みながら、

まあ、普通ですって答えるのもなんですし。

彼は「他に感想は?」の言葉に、私は声が詰まり、

「え?他にって?美味しいだけじゃダメ?」と聞いたら、

「味がどうとか、香りがどうとかあるでしょう?」と

聞いてきました。押し付けがましいったらありゃしない(笑)





正直に「わかりません。でも美味しいですよ!」

と言ったら、思いっきり「ハァ~、これだから・・・」

ため息を一つつき、それはまるで、





「これだから庶民はダメだ」

「これだから泥水が好きな奴はダメだ」

「これだから田舎者はダメだ」

さて、「これだから」の後のセリフはわかりませんけどね、

なんかものすごい低められたようが気がして、

しかし、滅多にない人種でしたので、ちょっと

新鮮だったりして・・・





気を取り直したのか、穏やかな顔に戻り、

自らもまた一口紅茶を口に含みました。




「う~ん・・・うまい・・・

この紅茶の渋みが、まるでマスカットの種を噛み潰した時に

口いっぱいに広がる渋みと似ていて、

ナンタラカンタラ・・・」とキッモい顔して

マイワールドに入ってしまわれました。




マスカットの種、噛みつぶしたことなんてありゃしませんで、

彼のうっとりした顔は、忘れたくても忘れられません。

脳内に今でもこびりついています・・・

記憶ってすごいね。





ああ、懐かしき紅茶の物語。

彼は今頃何しているかな?

嫌われてないかな?嫌われてもマイワールドで

生きるって幸せだったりするし、

私は結構、マニアックって尊敬しているのです。

その種のプロでもあるから・・・





しかしながら、ぜひとも、泥水の美味しさにも

彼には触れて欲しいとか思うのでした。

でも何かを極めるっていいですね。





もしかしたら、彼のような紅茶マニアは、

紅茶の淹れ方教室とか開けますね。

こんな風に、極めるとそういうこともできます。

知識があると、その知識は宝ですので、

広められたらいいと思います。





私は10年後くらいには、もっと珈琲を極めて、

自社焙煎のこだわりの珈琲店を開き、

時々気が向いたら、お客様に美味しい珈琲を

淹れてみたいと、妄想しています。

そして、時々、珈琲レッスンみたいな教室を

そのスペースで開くとか・・・楽しそうですね。

つまらん思い出話にお付き合いさせてしまいました。





ちなみに画像のカップは、ノリタケのサブライムシリーズ。

色は何色かあるようですが、結構、お手頃なお値段で、

かつ、高級感もあり素敵です。

では、素敵な週末を!





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