50MHz帯2波長ひし形ループ・アンテナの製作
- 24MHz帯用アンテナの利用 -
(1)はじめに
先日、OM局との会話の中で、最近50MHzがとても賑やかですよ、との話を聞きました。そこで50MHz帯のアンテナを自作したいのですが、その製作、調整時に必要なアンテナ・アナライザーを持っていないこと(現在所持のものはHF帯専用)、新たにアンテナを設置する場所が見つからない、などの理由で新規アンテナを諦めていました。しかし、秘策を思い付きました。現在のアンテナは、18、21と28MHz帯の3つで、すべて自作のひし形ループ・アンテナです。ループ・アンテナの利点として、アンテナの共振周波数よりも大きな周波数であれば、アンテナ・チューナを使えば波が出せます。ただし、性能が1波長ループ・アンテナよりも劣ります。せめて2波長ループ・アンテナとしてならば共振しますし、何とかなりそうです。そこで現在使っている21MHz帯の1エレのひし形ループ・アンテナを24MHz帯用に改造し、それを50MHz帯用の2波長ループ・アンテナとして利用することにしました。
(2)製作法
24MHz帯用の1エレのひし形ループ・アンテナのサイズは、以前のブログ『自作アンテナの勧め ー24および28MHz帯ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナ』に記載していますので、御参照下さい。21MHz帯用のアンテナを24MHz帯用に改造すると言っても、結局は一から作ることになるのですが。上図(赤線はアンテナ・エレメント・ワイヤー、黄色丸は給電点、青線と灰色線は非金属性のガラスファイバー支柱や木製の棒など)には、デジタル・モードのFT8の利用を前提として、それぞれ24.915MHzと50.323MHzを中心周波数としたアンテナのサイズを示しています。アンテナの構造は、先のブログ『18MHz帯ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナ)の製作』と同じですが、アンテナ・エレメントの長さやアンテナの幅が異なります。アンテナのシュミレーション・アプリMMANA-GAL(CQ誌2020年6月号別冊で紹介されました)を使用し、利得、打ち上げ角、アンテナの入力抵抗値を留意しながら、エレメント長の最適化を行っています。また、アンテナの入力抵抗値は、給電同軸ケーブルの抵抗値の50オームになるようにアンテナ形状の適正化を施していますので、面倒な給電同軸ケーブルの抵抗値とアンテナの入力抵抗値との整合作業は不要です。従って、すでに紹介した21MHz帯のひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナと同様、コモンモード電流対策のための1:1バラン(電圧バラン)、もしくはソーター・バラン(電流バラン)の追加のみでOKです。
(3)アンテナの輻射特性
24MHz帯用の1エレのひし形ループ・アンテナを50MHz帯で使用した場合のアンテナの輻射特性をMMANA-GALアプリでシュミレーションしてみました(上図)。MMANA-GALアプリで最適化した50MHz帯用の1エレのひし形ループ・アンテナの結果も比較のために示しています。当局のアンテナ設置環境に合わせ、給電点は地上高12mです。図のそれぞれの上図はアンテナの上方から、それぞれの下図は側面から見た電波の輻射強度分布を示しています。図中の赤線は水平偏波成分、青線は垂直偏波成分です。ダイポール・アンテナと同様、いわゆる『8の字特性』で、利得は、アンテナの前後方向で最大で、24MHz帯用アンテナを使用した2波長アンテナとした場合は打ち上げ角36度で6.8dBi、50MHz帯専用アンテナの場合は打ち上げ角6度で9.7dBiとなりました。
24MHz帯用のひし形ループ・アンテナを50MHz帯に利用した場合、50MHz帯対応のアンテナ・アナライザーを持っていないので詳細な測定データが示せませんが、50.323MHzにおいて、リグ内臓のSWR計の針は動きませんでした(SWR値 = 1)。ATU(アンテナ・チューナー)なしで使えます。
<<追記>> 24MHz帯用のアンテナを50MHz帯で利用する場合、一つ問題があります。コモンモード電流対策のためにアンテナ給電点と給電同軸ケーブルとの間に挿入する1:1の強制バラン(電圧バラン)、またはソーター・バラン(電流バラン)が50MHz帯に対応しているかどうかです。当局の場合、24MHz帯用に自作したソーター・バランをそのまま使っています。もし、完璧を期すのでしたら、HF帯から50MHz帯まで対応した市販の1:1バラン、もしくはソーター・バランを御使用下さい。
de WJ2T