DIY(自作)アンテナの勧め

自作アンテナの勧め ー24および28MHz帯ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナ



 

 

(1)はじめに
 以前のブログでも書きましたように、太陽の活動がサイクル25に突入し、予想に反して急激に太陽黒点数(SSN)が増加、HF帯のハイハンド(21、24、28MHz帯)が賑やかになって来ました。そこで、24MHz帯と28MHz帯のひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナを上げて見ました。早朝、EUや東ヨーロッパ、ロシアなどが簡単にQSOできます(当局のQTHは米国北東部)。前回のサイクル24の際は、HF帯のハイハンドがこんなに賑やかだったような印象はなかったのですがネ。28MHz帯は、まるで14MHz帯を『見ている』(デジタル・モードのFT8/FT4)ようで、DXとのQSOがいとも簡単に成立します。QSOが終わると、当局はCQ局でないのに3、4局から呼ばれることもしばしば。
 今回、この2つのひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナのサイズを記載しようと思います。アンテナの製作方法は、すでにブログに掲載しました『自作アンテナの勧め ー21MHz帯ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナの製作法を分かり易く解説』と基本的に同じです。アンテナ・エレメントの長さのみが異なります。アンテナの入力抵抗は、給電同軸ケーブルの抵抗値の50オームになるようにアンテナ形状の適正化を施していますので、面倒な給電同軸ケーブルの抵抗値とアンテナの入力抵抗値との整合作業は不要です。従って、すでに紹介した21MHz帯のひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナと同様、コモンモード電流対策のための1:1バラン(電圧バラン)、もしくはソーター・バラン(電流バラン)の追加のみでOKです。

(2) ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナの構造、作成、設置とその調整
 24MHz帯および28MHz帯のひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナの構造を上図に示しています。中心周波数は、デジタル・モードを意識して、それぞれ24.915MHzと28.075MHzになっています。一般に、ループ・アンテナは、SWR値の低い帯域が広いですから、CWからSSBまでカバーできます。ただし、28MHz帯のFMまでは苦しいかも知れません。リグ内臓のアンテナ・チューナー(ATU)や後付けのアンテナ・チューナーを使えば波が出せると思います。
 寸法通り、塩ビ被膜の銅線コードを切り出し、設置して下さい。以前のブログ『ワイヤー・アンテナ用エレメントの工作(引っ張り強度が得られる繋ぎ方)』で紹介しましたが、ホームセンターなどで安価に入手できる『平型ビニルコード』の利用をお勧めします。青線は約2m長の2本のグラス・ファイバー・ポール(直径5.5mm、通販で1本100円程度)をステンレス製のホースクランプ(ホースバンド)で束ねて、それを繋ぎ合わせています。非導電性の物であれば何でもOK!灰色の垂直棒は、同様に導電性の金属製やカーボン・ファイバー製以外であれば大丈夫です。例えば、高価ですが『鯉のぼり用グラス・ファイバー製伸縮ポール』などは移動運用に最適です。下端の黄丸が給電点で、給電ケーブルとの間にバランを入れます。もちろん、市販の1:1バランやソーター・バランが使えますが、是非、自作をお試し下さい。以前のブログ『自作アンテナの勧め ー21MHz帯ひし形(ダイヤモンド)ループ・アンテナの製作法を分かり易く解説』の中で紹介したソーター・バランの作成法を参照下さい。材料は通販で入手できますし、自作が初めての方でも意外にうまく作成できます。この自作バラン、24MHz帯や28MHz帯でも、そのまま使用できます。設置後はSWR値が2以下に収まるはずです。ただし、リグ内臓のSWR計の針が振れる場合、リグの終段を保護するためにリグ内臓のアンテナ・チューナー(ATU)、または後付けのアンテナ・チューナーの使用をお勧めします。なお、アンテナ・エレメント、バラン、給電ケーブル間のそれぞれの接続は、当局の場合、直接『半田付』をしています。バランは、非金属製のプラスチック・タッパーなどに入れて風雨に曝されないようにして下さい。このタッパー内で、アンテナ・エレメント、バラン、給電ケーブルが接続できれば、防水に関しては完璧です。
 アンテナ・アナライザーなどをお持ちの中・上級者の場合、アンテナ・エレメント下端を、上図に記載したエレメントの長さよりもそれぞれ10㎝程度長く切り出し、アンテナ・エレメントだけを設置後、アンテナの入力インピーダンス(Z)をアンテナの給電点で測定し、リアクタンス成分(X)がゼロになるように2本のアンテナ・エレメントの下端を同じ長さずつ切り込んで下さい。少しずつ切り込むとリアクタンス成分(X)がプラスからゼロに近づいて行きます。リアクタンス成分(X)がゼロでレジスタンス成分(R)が50オーム付近になるはずです。その後、バランと給電ケーブルを接続して下さい。なお、参考までに、アンテナの幅を広くすると、レジスタンス成分(R)が大きくなります。アンテナ調整の際に、リアクタンス成分(X)がゼロでレジスタンス成分(R)が50オームから大きく外れる場合は参考にして下さい。

 


(3) アンテナの輻射特性
 上図は、アンテナの調整後、給電ケーブルのリグ側で測定したバンド内のアンテナのSWR値です。24.915MHzでSWR値が1.19、28.075MHzで1.15でした。リグでSWR値を測定しても針が動きませんでした。両アンテナともATUなしで使えます。
 

 アンテナの輻射特性をMMANA-GALアプリでシュミレーションしてみました。当局のアンテナ設置環境に合わせ、24MHz帯の場合は給電点が地上高12m、28MHz帯の場合は4mです。図のそれぞれの上図はアンテナの上方から、それぞれの下図は側面から見た電波の輻射強度分布を示しています。ダイポール・アンテナと同様、いわゆる『8の字特性』で、利得は、アンテナの前後方向で最大で、24MHz帯の場合は打ち上げ角13度で9.2dBi、28MHz帯の場合は打ち上げ角22度で8.1dBiとなりました。給電点の地上高が高ければ高い程、打ち上げ角が小さくなり、利得が上がります。

 是非、試して下さい。良く飛びます!

 

de WJ2T