ニュースリリースには写真を添付すべし。読まなければ分からない文章に比べ写真の存在感は強くひと目で理解できる。ただ写真が面白いかが問題。冷蔵庫やテレビなど外観が他社商品と変わらないものは興味を引けない。そのため昔から意味もなく若い女性が横に立つ写真を使うことがあり、そんな写真ほど新聞に掲載されることが多い。商品より隣で微笑む女性が印象に残るかもしれないが、それでも読者に存在を知ってもらうことができる。

最近は動画を添付するニュースリリースも登場している。もちろん紙では動画は見られないので、ホームページや動画サイトを訪問すれば見られるよう工夫している。動画は写真以上にインパクトが強い。とくに文章や静止画では分かりづらい複雑な機械や素材の動きを瞬時に読者に伝えられる。安価にネット向けの動画が撮影、編集できるようになってきており、今後はニュースリリースに動画を添付する企業の数は増えると見られる。
同じ日に3つの新商品を発表する場合、1本のニュースリリースで3商品全て紹介するべきか。答えはノー。3本のニュースリリースを準備すべきだ。

前にも書いたが、ニュースリリースは短ければ短いほど理解しやすい。もし3商品を同時に紹介したら、最初の1商品の紹介で読み手は飽きてしまう。最初から3本あればニュースは3つなことがすぐ分かる。よく記者会見でプレスキットと呼ばれるバインダーが配布される。キットは一式の意味で、中には発表案件、発表者の経歴、発表会社の概要に関する複数のリリースが入れられる。

似たような商品の場合どうするか。それはケースバイケースで判断。同一機能で色だけ違う場合は1本。メモリが2GBと4GBのPCの場合、基本性能が違うので2本(おそらく製品番号も異なるはず)。それらは自分が読み手の立場に立った常識で判断するしかない。

しつこいが読み手のメディアは、とにかく長いニュースリリースを嫌う。数秒眺めて興味を持てば全て目を通すし、つまらないと思えばそれ以上読み進まない。1本のニュースリリースの中にごちゃごちゃ数製品の紹介があるだけでうんざりしてしまう。よく新聞記者はぶっきらぼう、単刀直入に必要なことしか聞かないといわれる。それは職業病だと思う。

多くのニュースリリースは「××新商品を発売いたします」と「ですます」調で書かれる。「××新商品を発売する」と「である」調で書かれるのは少数。ではニュースリリースは「ですます」調が良いのか。

しかし待って欲しい。「ですます」調で書かれた新聞記事はないはずだ。記者は「ですます」調で書かれたリリースを「である」調に書き直している。ならば最初から「である」調で書けば手間がはぶける。テレビニュースでアナウンサーが「ですます」調を使うのは話ことばのためだ。

そもそもニュースリリースは、そのまま新聞に転載できるように作成するのが基本。日本ではあまり見ないが、米国の新聞ではニュースリリースをそのまま転載しているケースが多い。米国にはページ数が日本の新聞の倍以上ある新聞が多い。米国の新聞の大半は地方紙。少ない人員で膨大な紙面を埋めるには、いちいちニュースリリースを書き直している時間がない。米国のニュースリリースを読むと、まるで新聞記事のような体裁で担当者のコメントまで入っている。

日本の新聞社、とくに巨大な全国紙は、ニュースリリースをそのまま記事に使うことはない。しかし自分たちが普段書いている記事に近い形式のニュースリリースは、早く理解でき書き直しの手間も少ない。文章が冗漫で長くなりがちな「ですます」調より、淡々と事実だけを述べる「である」調の方が簡潔で読みやすい。多くのニュースリリースが「ですます」調を用いるのは、メディアに対するへりくだった気持ちがなせることで意味がないと思う。
ニュースリリースは短いほど良い、長くてもA4で2枚、できれば1枚が良いといわれる。「知らせたいことが一杯ある」「情報は多い方が良い」と考える人にとっては残念でならないだろう。

しかし逆に読む側の立場に立ったらどうか。新聞記者やテレビの報道記者は毎日ニュースネタを必死に追っている。彼ら彼女らはライバルである他紙、他局関係なく、実に多くの新聞、雑誌、テレビ、ネット、そしてニュースリリースに目を通している。そんな時、瞬時でニュースになるかならないかを判断するには、初期情報は短いほど便利だ。

ネットニュースもトップページは見出しの一覧表。そこで興味を引かれなければ次をクリックしないのと同じことだ。まして記者は暇つぶしでニュースを見ているわけではない。目も肥えている。目を通す時間も限られている。だから情報は簡潔でなければならない。

毎日膨大なニュースネタが現れ、その大半がクズとして捨てられていく中にあって、いかに記者の気を引くニュースリリースを作成できるか。その第一は、いかに短い文章で魅力を伝えられるかにかかっている。
何故、重要度の高い情報を冒頭に置き、低い情報はその後に記載する逆三角形型が良いのか。理由は大きくふたつ。ひとつはその方が瞬時に全体像を把握できるためだ。「誰々が亡くなったそうだ」と聞くと、「えっ、何時、何故、どこで」と知りたいのが普通。その人が亡くなってどんな影響があるかは、読者一人一人によって異なるため後回しにしても問題はない。

もうひとつの理由は新聞の紙面構成に起因している。新聞は第1版から始まり新しいニュースが入る度に紙面(版)を変更して印刷される。紙面の左上に第15版とあれば、紙面を15回変更したことを意味している。版を差し替えると、第1版では重要性の高いと思われた記事も、より重要性の高い記事の出現で、当初の掲載位置を変更し、文章量も削減する必要が生じる。

その際逆三角形型に作られた記事は、冒頭部分さえ残せば、その後をカットしても最低限の情報が伝えられる。逆に言えば逆三角形型の記事は、あらかじめ版が差し替わることを意識して作られたものだ。個々のニュースは新聞紙面全体から見ればひとつのパーツに過ぎない。そのパーツもどこで切っても、より小さなパーツとして利用できるようにしておくのが新聞制作の必要条件といえる。ニュースリリースも新聞社の事情を考えて作成すれば記事になりやすくなる。