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BESPOKE

芸術をめぐる冒険と、最近思うこと、いろいろ。

「社長のスケジュールの都合で、
よろしければ別の日に延期させていただきたいのですが。」
「え?」
「難しいようでしたら、本日でもかまいませんが。」
「今向かっている途中なんです。」
「出来れば少し早く開始させていただければと思います。
到着次第はじめてもよろしいですか。」
「は、はい。でもぎりぎりになってしまいそうなのですが。」
「出来る限りお早めにお越しください。」

この日の面接が最終面接だった事を知ったのは
その時の電話だった。
遅刻の事だけでなく、
最終面接である事や、時間を早めたい事、
追い詰められる要素がありすぎて
わけがわからなくなっていた。
電話をしてしまったことで
乗り継ぎの電車をひとつのりすごした。

青山、骨董通りの本社に着いたのは
結局開始時間の5分遅れ。
受付の社員さんは
「早くしてください、社長がお待ちです!」
と、そのまま部屋へ案内した。
息つく間もなく、
川久保玲と二人だけの部屋へ放り込まれた。

今まで練習してきた面接の流れも、完全に抜け落ち
ここから人生最大の悲劇の幕が開いたのだった。