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BESPOKE

芸術をめぐる冒険と、最近思うこと、いろいろ。

「あ、あのお…。」
じーっと見つめられ、
「そこにおかけください。」
冷めた声に、ため息のようなものも感じ
絶望的な気持は最高潮に達していた。

もう駄目だろうから、楽しむしかないかも。
そんな気すらしてきた。
というかもうすでに何もかも終わっているようなものなのだから。

川久保氏は面接だというのに
非常にラフな格好だった。
青と白のボーダーのTシャツに
べっ甲ボタンの紺の縮儒サルエルパンツをおめしになっていた。
特に目を引いたのは、定番のボーダーTシャツに、
カラフルな花のプリントがしてあるもの。
黄色、赤、緑、ブルー、紫、色とりどりの花々。
黒が有名なコムデギャルソンではあるが、
本人はとてもきれいな色のコーディネートをしていた。
すべてをジャストサイズで着こなしていて、
とてもかなわない、完璧なスタイリングだった、
綺麗に切りそろえられた前髪とエレガントなボブスタイル。
色白で、化粧っけの無い表情。
あこがれ続けたあの人と
最悪の状況で、面会する事になってしまった。
最高にして、最低。

「はじめてよろしいですか。」
「はい…。」