「お前さんも冒険者になりたいんだろ?」

魔力消失(マナ・ロスト)
アザルス歴380年、ディメント王国の各地で天変地異が起きた。
魔法の根源である魔力(マナ)が失われる……。
これは魔法に携わっていない人々にとっても大問題だった。
ディメント王国魔法局は、魔力消失の原因を探るため、
王国の各所にある遺跡や迷宮に調査団を送った。
しかし、妖魔妖獣の類に阻まれて調査は一向に進展しなかった。
特にディメント王国首都アイトックスの地下に広がる旧地下水路は
次々に魔物が湧き出し、全く調査できなかった。
そこでディメント王国魔法局は、冒険者に向けて御触れを出した。
「旧地下水路に赴き、魔力消失の原因を突き止めた者に騎士の位と報酬を与える」
騎士になるのはすべての冒険者の憧れであり、
腕に覚えのある者たちは我こそはと、ディメント王国を訪れている。
もっとも私は騎士になるという目的では無い。
クォパティの僧侶として人々のために一刻もはやくこの異常を解決したいという気持ちから自ら志願したのだ。

カリグラーゼ下水道。
今では使われなくなった地下水路の一区画だ。

これを私が冒険者の一員としてやっていけるかの試練とするらしい。
いいだろう受けてたとうじゃないか。
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ここはギルガメッシュの酒場。明日をも知れぬ冒険者達がひとときの安らぎを得る場だ。「駆け出しとは言えダンジョンはダンジョンだ。仲間が欲しければ酒場に行ってみるんだな。」というアドバイスを受けやってきたのだが、はやくも誘惑に負けてしまいそうだ。
ここはダンジョン、私の胃袋にすむ魔物が今にも暴れそうな餌の香りが私の鼻をくすぐる。しかし私の財布はまだ乏しくここで食べてしまったらこの先また欲望に負けてしまう可能性もある。看板娘の話によれば気前のいい冒険者は他人にも料理をおごるらしい。いつしか私もそうなりたいものだ。

私と同じ駆け出しで同じようにダンジョンへ挑むものがいないか受付嬢に聞く。
わかってはいたが勿論いない。
初めてのダンジョンに一人で挑むというのは不安ではあるが、ドルクから貰った地図を見て出発地点に向かう。

「タクシー屋カラ転職シタヨ!」
「冒険者ギルドカラ依頼アルヨ!」
クエストだ。そういえば先ほどもドルクは「やけに依頼が多い。新米の手も借りたい」と言っていたのを思い出す。
せっかくダンジョンに向かうのだ。新米でも出来るような仕事があるのだろう。

【増殖する甲虫】
要は害虫駆除だ。おそらく誰にでも出来るような仕事であるに違いない。
だが私が行くのはいくら新参冒険者が挑むダンジョンだとしても未知であることに変りは無いはずで、ダンジョンがどんなところか知る必要がある。
今回は害虫駆除を見送り、調査に専念しよう。
そうして私は一人の冒険者としてダンジョンへと挑むのだった。
