ダンジョンに一人で挑むのは間違っていると思う
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ウルグス卿と別れて間も無く私は何かを踏みつけた。




誰か倒れている。私と同じ冒険者だろうか。

息はあるが酷く衰弱している様に見える。私は簡易的ではあるが彼を治療し、声をかけた。









どうやら彼も駆け出しの冒険者で、ドルクから盗賊団の退治を依頼されたのだろう。



何か聞き出せないかと質問をしてみるも、すでに気を失っているようであり反応が無い。



パーティを組めと言われたがそんもの組めるようならとっくに組んでるわ!とか思いつつ彼が必死になって登ってきたであろう階段を降っていく。



帰りに無事戻れるよう頭の中で必死に地図を作りつつ一段一段一歩一歩進み、階段を降り切った所で気が付いたのだが妙に生暖かい。と言うより上の階からの風が涼しく感じる。



此処に入ってから少し疑問に思っていたのだが、あまり下水道という感じがしない。頭上には昔はどこかに繋がってそうな管がぶら下がっているが、どちらかというと以前は遺跡だったものをそのまま下水道に流用している様に感じる。



闇の中に何かが蠢いているのが見えた。人型であるが遠くからでもそれが何であるかすぐ理解した。





ゾンビだ。

下水道の汚臭に混じり、フシューフシューと死臭が漂っているのが目に見えてわかる。



アレは死体に魔力が宿ってただ徘徊しているだけの肉だ。

人の形をしているただの塊。

そう自分に言い聞かせて近づく。

所々腐り落ちつつも人であることがわかる。

知能が無いのか近づいても反応が無い。

これは死者への冒涜。

私は手に持った棍棒をゾンビの頭蓋骨目掛けて振り下ろす。



私も戦闘経験が無いわけではない。

振り下ろした棍棒は鈍い音をたててゾンビの頭を砕いた。

知能はないが生存本能はあるらしく、死んでいる身体を必死に動かして私を攻撃しようと腕を振り上げるも緩慢な動きなので避けることは容易い。さらに2~3打撃を与えてやると敵わないと感じたのか背を向けて脱兎の如く、と言うより脱亀の如く逃げようとし私はそれにトドメを刺さんと追う。

しかし....





!?



何者かが私の足を食い千切らんとする。この暗いダンジョンで目の前の敵に囚われすぎて回りが見えていなかったのだ。

ふと、此処に入る前に見た依頼書が脳裏をよぎる。

甲虫だ。




ただの虫だと思っていたが、今ここでは盗賊団を除けば食物連鎖の頂点に立つ生き物。

もしかしたら今戦ったゾンビもこの甲虫の“餌”であるかもしれない!

きっとこいつも私を餌だと思って攻撃してきたのだ。

かさかさと虫が這いずる音が聞こえる。

この暗闇の中、触覚を持つ虫と戦うのは不利と思い光苔が生えている場所へと.....



かさかさかさかさかさかさ



来た!






私は足元目掛けて棍棒を滅多打ちにする。何かを潰す手ごたえと下から飛んできた液体を頬に感じ仕留めた事を確信したのだった。


(続く)