服薬記録
セルシン 2.0mg
デパス 1.0mg
セルシンは5mgから2mgまで減りました。
自己判断でこの量で一旦ロングステイ予定。
映画『国宝』感想
あちこちに感想が出回ってますね。
どの方も感じることが違っていて面白いです。
原作を読んだ方の中で、原作ストーリー推しの方々にはすこぶる不評だったり
本を読み、映画も観ている方の中で、どちらも素晴らしいという賛辞を送っている方もいて
観る側の視座によって、感情を強く動かされる映画なんだと感じました。
さて、私は原作は未読、映画のみ鑑賞しています。
また、歌舞伎のことは何も知りませんし、実力より血筋が全ての世界だということすら知りませんでした。
この話は、親を失った任侠の息子が、その類い稀な才能を見出した名門歌舞伎役者の家に引き取られ、紆余曲折を経て人間国宝にまで上り詰める一代記です。
ストーリーは、「血」という絶対的な後ろ立ては無いが才能に秀でた主人公の喜久雄(吉沢亮)と
名門歌舞伎一家の御曹司という「血」を生まれながらにして担保しているぼんぼんの俊介(横浜流星)
この2人のバックボーンや関係性がコントラストを持って展開していきます。
片や「血さえあれば」と血の欠落を呪い
片や「歌舞伎の家に生まれなければ」と才能の欠落を呪い
2人はお互いに無いものを持ちあわせている合わせ鏡のような存在です。
言語化するのが野暮だと思えるほど、とてつもない熱量の映画でした。
どの出演者も素晴らしい。
中でも「顔面国宝」のような吉沢亮さんが喜久雄に憑依してご自身の役者人生を賭ける凄みに心奪われ
きら星のように今をときめく横浜流星くんが「災い」とも言えるライバル喜久雄に出会うことで、強烈な挫折を味わう姿は印象的でした。人生で初めて突きつけられた「自分がラベルに甘えた中途半端な役者だ」という絶望を繊細に表現していて
他の出演者の方々も、もうみなさんそれぞれに大変すぎます笑
2人を取り巻く女性たち、中でも寺島しのぶさんは実際にご実父とお祖父様が人間国宝である梨園の女性ですし、リアリティのある自然な演技でした。
歌舞伎に魅入られ、「血」の援護が無いまま他の全てを犠牲にし、芸だけを武器に歌舞伎に人生を捧げた喜久雄と
「才能の欠落」から這い上がって行った俊介が「自分の血」に降参し、2人が再び手を取り合えるようになるまで歌舞伎役者としての存在感が拮抗していった壮絶な人間劇場は圧巻です。
また、子供の頃から喜久雄に憧れ、頂点を極めようとする喜久雄を追いかけることを途中でやめ、俊介を選んだ高畑充希演じる春江。
一旦「血」の呪縛から逃げた俊介とドサ周り中に結婚して支えながら、最終的には「公約」通り、喜久雄を最も真近の贔屓筋として応援する立ち位置に立った春江の存在も良かったです。
女は強いですね笑
洗練された美しい映像
美術も衣装も美しい
そして、映画の世界観を哀しく美しく下支えした音楽の素晴らしさ!
『国宝』サントラもお勧めです笑
YouTubeで無限ループしてますが
「国宝」とタイトルにあるものを聴くだけでもストーリー性があり、最後に井口理さんのテーマ曲で締めると映画の疾走感や監督の美意識、役者さんたちの凄みのある熱量を追体験することができます。
これは劇場で観る前提の映画ですね。
ごくたまにしか出かけられない自分を、劇場に連れて行ってくれた記念の映画になりました。
素晴らしい超大作の原作を映画化すると覚悟を決めた監督さん、全てのスタッフさん、役者さんたちの人生を賭けたクリエイションに魂が震えた3時間でした。