大会前夜のバイキングで、昔っから大食いドクターになりたかった、とおっしゃっていただいて
嬉しかったです。事務所に入ってからずっと希望を出していたんですって。
私の席。
配置を言うと、
むかって右から MC高橋みなみさん、大食い解説白田さん、進行役パンサー向井さん、えびまよちゃん席
中央が女王アンジェラ席
左が菅原席 決勝ゲスト本仮屋ユイカさん、パンサー尾形さん、菅さん。
私の勝率を上げたのはこの配置です!
いまはコロナ対策で距離を離してアクリル板で仕切っている分、
イヤフォンで離れているひとの声も拾えるようになってはいますが、
人との距離って重要だと思うんですよ。
やっぱりMCと解説が近くにいるとプレッシャーがあると思うんですよね。
私は高橋みなみさんも白田さんも好きですが、それと大会は別。
えびまよちゃんは予選魚リーグではのびのびとふるまえたと思うのですが、
決勝では勝たなくてはというプレッシャーに加えて、
やはり近いところの選手の状況をつい実況してしまいがちなMC、解説、進行の
声にもプレッシャーを感じたのではないでしょうか。
とはいえ、白田さんは選手の気持ちにもっとも近い解説なので、さすがだな、と思ったのは
優勝杯数をあえて16,7杯とレベルを下げていってくれたところ。
これが最初からズバッと20杯!と言われちゃうと、そこで発奮できる選手はいいだろうけど、私みたいな
精神的に弱い選手はそれだけであっぷあっぷして、19杯どまりだったかもしれません。
あえてハードルを下げることで現役選手の力を引き出す。
すばらしい解説です。
これが大食いをまったくわかっていない人だと、ハードルをあげたり、煽ったり、意味がわからない笑。
一方の私ですが、決勝のSPゲストが本仮屋ユイカさんと知って大喜びです。
もちろん大会当日、その席に座るまで知らされていない情報でした。でもね、少しは期待していたんですけどね。
もしかしたら、神様がすべてを私のためのおぜん立てをしてくれていないかなあって。
自分には自信がないが、大食いの神様にもっともt愛されているのは私という妙な自信はあるんですよね。
ここぞというときに神様はいつも私に手をさしのべてくれてきた、という。
以前デカ盛りハンターで本仮屋ユイカさんがゲストでいらした時には大喜びしたけど、
ツーショットをお願いする時間はなかった(終わったら本仮屋さんは皿洗いが待っていたので)。
ようし!ここで優勝して本仮屋ユイカさんとツーショットを決める!と気合が入ったのは間違いないです。
しかもアクリル板があるとはいえ、すぐ近くにいて、なんとなく私を応援してくれているような感じなんですよ。一挙手一投足を見守ってくれている…ように感じる。
やっぱり自分のところから見える選手についてのコメントがおのずと多くなるわけでして。
編集ではだいぶカットされていましたが、とにかく大食いについての分析力が凄い。これは白田さんも舌を巻いていました。
やっぱり近くにいるゲストにとんちんかんなコメントをされたり、やたら質問されてペースを崩されたりというのはいやなんもんですもんね。
大食いをよくわかっていらっしゃるわれらが本仮屋ユイカさんは、質問するかわりに状況を伝える発言や、大食いについての質問を白田さんに向けるなど、ほんとうにずいぶん助けられました。
1杯目 食べ始めてすぐに、これはずっとスピードを緩めず最後まで行かないとダメなやつだ、と思いました。
野菜を噛む力がかなり要るし、嚥下も使う。野菜の熱さは麺の熱さとはまた違うのですが、一生懸命扇いでくれた池田有加選手のおかげで
野菜の上の方は熱さを気にせず食べられました。
この1杯目の一口で、アンジェラが「これは作戦を変えないと」と口にし(放映ではカット)、あ、なにか対策を立ててきたな、噛み応えがあるからずっと同じスピードで行く作戦に切り替えたなと思ったのですが、半分は当たっていました(笑)。
この時、いやな予感がしました。
2018年女王戦でのレタス畑ですよ。アンジェラ佐藤選手は肉に強いとは知っていましたが、肉が好きな人は野菜が嫌いなことが多いので、てっきりここは私!と思っていたのにアンジェラ選手に負けてくやしい。最後のワシワシ野菜を飲み込む力にも恐れ入りました。
ということで、野菜が出て喜んでいたけど、これはアンジェラに有利じゃないかな~と弱気に。
いっぽう10杯目くらいまではえびまよちゃんが手を緩めることなく付いてきて、なかなかやるなあと思っていました。
たいてい新人は決勝ラーメンで60分戦えないんですよね。新人戦で勝ってもそれは自分より格下相手に勝ったというだけで、自分より決勝の経験がある選手たちと戦って負けないというのは実力が試される正念場。
マラソンもそうですが、実力があっての自信です。自信がなかったら練習するしかない。練習してもしても自信がつかない気弱な人間もいますが(ワタシ)、それでも、最後の最後に自分を助けてくれるのは一生懸命やってきた自分しかいないんです。
ちなみにインタビューで私がたっぷりしゃべってほぼカットされたことの中に、
私は自信があるという人が嫌いです、というのがありました。特定の誰かのことではなく、いつも自信がなくて苦しんでいる私には自信がある、といいながら結局私より弱かったじゃんという人が憎い。弱いんだったら自信があるとか言うな!と思う。
いやほんとうに憎いのは自信が持てなくて、苦しい気持ちと戦っている自分なんですけど。
そういう葛藤が大会の時は馬力をかける燃料になっているのでおもしろいものです。
配信で大食い女王戦を見たら、まさかインタビューでえびまよちゃんが自信あります!自信しか持たないようにしている、と言っていたとは…ただ、だいぶ無理をして自信がある!と自分に言い聞かせている感じは拭えないですが。
さて、上の野菜は冷めているのでまず野菜を食べてから麺を持ち上げて冷ましながらたべる、
基本的にこれを繰り返してイーブンペースで16杯目到達。
わりに最初の方からかけていたのがちゃんぽんドレッシング柚子胡椒風味。
昔は頑なに素材の味を大切に、と思っていましたが、ある時、使い方次第ではトッピングが
味方になることもあるから見極めが大切だと思うように。
この時は、柚子といえば柑橘、柑橘といえば酢、たしか「きのう何食べた?」でケンちゃんの働く美容院のタブチ君が
彼女との別れ際に長崎ちゃんぽんを作って酢をかけまわすシーンあった!
酢だ!柚子胡椒だ!間違いない!
と思ってぐるぐるたっぷりかける作戦に。
この柚子胡椒風味はほんとうに長崎ちゃんぽんにぴったりでしたが、
大会が終わって冷静になったところで思い起こせば、
あれ?タブチ君(長崎出身)が作っていたのって、長崎皿うどんじゃね?って。
勘違いからの確信でしたが、長崎ちゃんぽんに柚子胡椒、すごく合いました。
リンガーハットさんに行かれる方はぜひお試しあれ。
ちなみにしょうが風味はしょうがを食べると体がカッと熱くなるわけで、夏の大会には向かないな、と
1回やってやめました。柚子は柑橘で、体温を下げる効果もあったし、香りもリラックスさせる作用があったので…。
とにかくスピードの上げ下げのしにくいメニューなので、なにかでアクセントをつけてレースへの集中力が削がれないようにしなければ、
ということは考えていました。
途中でアンジェラが豚肉に癒しを感じている自分にびっくり、という発言をしていましたが、
(考えたら3人の中で発言するひとはアンジェラ選手だけだったという…余裕がいちばんあった?)
私も激しく同意でした。シャキシャキ野菜って喉を通って行きにくいからよく噛むんですけど、お肉が入ると潤滑油というか、
そのひとひらのお肉がうれしいんですよね。
これはやった我々にしかわからないだろうなあ…。
時間は刻刻とすぎて、次第にえびまよちゃんが劣勢に回ったらしいというのをMCと解説の声で知りました。
30分を過ぎてからはグッと丼に顔を近づけて、ほかのものの情報を一切シャットアウトの構えでした。
テレビ放映で食べ方がどうのこうのと言われるんだろうなあと思いましたが、なぜかこれは触れられませんでした。
ただ、火傷覚悟でしたね。
麺を箸で持ち上げてすする、そのわずかな時間が惜しい。
火傷してもいいから麺をもちあげてすするの時間を短縮したい。1ストロークあたりの秒を刻みたい。
そういう発想でした。
容量に自信がない時は少しでも麺のスープを飛ばしたいところですが、
言っちゃなんだが、容量ではこのふたりに負けないだろうと思いましたし、きょうは全然水を飲まなくても平気なメニューでした。
豚骨と鶏のスープの旨味は感じましたが、塩分を相当抑えているらしくて、何杯食べても喉が渇くということがなかった。
そして雨という天候も味方しました。
2018年の大会では扁桃腺が治ったばかりで水を飲まないとごはんが喉を通らなかったというのもあるし、アンジェラに私が容量で負けるわけがないとうぬぼれていたところがダメだった。体調管理は自己責任ですし、過信は事故のモト。
ということで容量には自信があるが過信は行けないと思って、水をほとんど飲んできていなかったので、仮に熱さで水を飲んだとしてももうここまで来たら大丈夫だし、いまは確実に1杯の差をつけることが大事だ、と思って、
30分から45分のあいだに差をきっかり1杯にする、あとの15分はそのリードを保ってフィニッシュする、と30分のところでやっと作戦が浮かび上がりました。
食べる前もいろいろ考えることはありますが、やっぱり食べてみないと、そして1杯食べただけではまだわからず、ある程度の量を食べてから浮かび上がる作戦がほんとうの作戦です。逆を言えば、30分食べた後に作戦を考える余裕がなければ優勝はできないってことです。
30分を過ぎたところから、
私はアンジェラがいつ2位にあがってくるかと思っていました。
絶対来るだろう。
えびまよちゃんの席とは離れすぎていてなにをやっているのか全然見えないので、
MC,解説の情報だけでしたが、じつは全然気にしていませんでした。
というか、アンジェラのことも気にしていなかった。
なにかを気にするヒマがないくらい、この長崎ちゃんぽんは一心腐乱で食べ続けなければいけないメニューだったんですよ。
噛み続けながら、レタス畑で負けておいてよかったと思いました。
あの時は小さなことの積み重ねで負けてしまった。
レタス畑に駆け下りていくときにタレの皿を持って行って帰りにレタスを洗ってもらっているうちにタレを注ぐとか。
(これはアンジェラとロシアンがやっていた)そんな小さなことの積み重ねでも最終的には大きな差になるわけで。
ということでビッチリ油断なしで行こうと決めていました。
アンジェラのラストの咀嚼と嚥下力を見縊ってはあかん。
この長崎ちゃんぽんで1杯差をつけられたら絶対勝てる、とも思いました。それを信じてワシワシ食べ続けるしかないのですが、
野菜たっぷりなので麺がふくれてきて、胃はまだ満杯になっていないのにコンクリートで固められたように苦しい、といういつものアレはなかったので、ドラマはなかった(笑)。
ただひたすら食べ続けるのみ。
えびまよちゃんがついに力尽きて、アンジェラが2位に上がって来たところで、
来たな!という気持ち。まあシンエヴァに例えれば、
ミサトがリツコに対して抱く信頼感があった。
「後のことは頼んだわ」みたいな。でも結局倒す相手なんですけど。
私が優勝を確信したのは45分のところです。
アンジェラにきっかり1杯差をつけて、自分はまだ食べられる余裕があった。
アンジェラが走りだしたときはちょっとだけ、
あ、これでペースアップしたらヤバいな
と思いましたが、杞憂だった。
帰りのバスで白田さんに、あれはパフォーマンスに走ったでしょ、と言われて、
いやそう、でもちがう、と言っていたアンジェラ選手。気持ちが私は分かったよ。2018年のごはん対決で走ったときは
たぶん、気持ちよくご飯が落ちてペースアップできたという成功体験があったんだと思う。
しかしあの長崎ちゃんぽんは走ったところで落ちるとかいうものじゃなかったんです。
というか、胃の上で固まったということもなかったんですが。
この長崎ちゃんぽんはものすごく噛まないと食べ進められないので、
ラストでペースアップできたのはアンジェラだからです。
私は絶対これは後からペースアップできないな、と思ったので最初から90%出力くらいで
食べ続けていました。90%で食べ続けていて、最後までいけるかな、という計算です。
最初から100%出したらラーメンでは負けフラグが立ちますよ笑。
45分を過ぎてからはあとは仕上げるだけ、と気持ちが楽になって、それがラスト5分で1杯という気持ちのいいフィニッシュに
繋がったように思います。気持ちの余裕が胃を広げるんです。逆に、追いつめられると実力を発揮できない。
今回は最初に思っていた通りの試合運びができて、われながらきれいだった、と思いました。
ジタバタあがくこともなく、自分が描いたトレースをきれいになぞって走れたという気がします。
一緒に戦ってくれたアンジェラ佐藤選手、海老原まよい選手のおかげです。
彼女たちが最後まで喰らいついてくるような選手でなければ私も8㎏を達成できなかったかもしれません。
優勝は最低目標、と白田さんが決勝前夜のおしゃべりの中でおっしゃっていて、私もその通り!と思いました。
優勝は最低目標、一番の目標は自分を越えること。
今回の戦いはその目標に到達できたことがうれしかった。
1杯400g(具材のみ)の長崎ちゃんぽん20杯完食。8㎏。
8㎏をやれたこともうれしかった。
最後に水の入ったリンガーハットの赤い紙コップを掲げていますが、
それは、
優勝したら手を高く掲げる、という無意識の刷り込み。
かんがえたら女王戦優勝って11年ぶりです。
(女王戦にその間出たのが今回を含めて2回なので、私が負けてばっかりいたみたいな
表現はやめてほしい)
最後に優勝した2010年はハワイでゆうじさんが「優勝は魔女菅原―」と言ってくれました。
11年前も決勝にいたアンジェラ。
まさか11年後もまた決勝をやることになるとは思っていなかったけど、今回のアンジェラは戦いぶりも終わった後のサバサバした感じも最高でした。
次の女王戦でも負けないぞー。
また会いましょう!