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美少女の美術史 浮世絵からポップカルチャー、現代美術にみる”少女”のかたち 青森県立美術館 7月12日(土)~9月7日(日)


図録のカバーにもなっているのは、


セクション1 「楽しんじゃおう!」のMr.「Goin To A  Goーgo!!」 648cm×259cmの巨大な作品はアクリル、キャンバス。


大きな絵なのですが、細部を楽しむように描いてあって、きのこの山があったり、女の子のファッションアイテムがちりばめてあったり、図録では再現できないので、残念。


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一例ですが、美少女の典型的な瞳の星の中に、なんとクマが紛れ込んでいたり、音符があったりします。

少女の楽しさが炸裂したような作品です。

この作品の解説に、

「多幸症的な混沌の中心にはいつも美少女がいて、なぜ少年ではないのか、そこには私たちの社会を考えるヒントが隠されているかもしれない、とあり、

美少女にかぎらず、おばさんもけっこう多幸症的な気がするのですが、

そこで私が5秒考えて出した答えは、

少年は無意識に期待の重圧を感じ、美少女は社会の期待のコースにはいないからでは、

でした。


ところでこの作品は美術館にやってきたお客さんが最初に出会う作品ではないのでした。




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最初に出逢うのは、こちら。

(obさんのライブペインティングの作品は8月1日以降は完成作品だけど、その前は進行中ですから除いて)

地下2階の受付にでんと置かれたタカノ綾「幽霊船に乗って」塩化ビニールなどでつくられた、巨大な美少女であります。

サイズは6m×6m×2.2m。

でかい!

この図録では完成したところをおそらく作家が見上げているのだと思いますが、

実際の展示では壁も天井もまっしろな空間で、窓の外の三内丸山遺跡に視線がむけられているようでした。


順路に従って、上にまいりますと、

上から見下ろす美少女はほっそり。下で見上げていた時はグラマラスというか量感がすごかったのですが、見上げる、見下ろす、そしてこれは順路で下に降りてからですが、アレコホールの隙間から背中を見ると今度はなにしろアレコが巨大ですから、小さく見えてしまう。

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20世紀を代表する画家の一人、マルク・シャガール(1887-1985)は、1942年、亡命先のアメリカでバレエ「アレコ」の舞台装飾に取り組みました。青森県は、全4幕からなるそのバレエの背景画の内、3点を収蔵しています。1点の大きさは縦が約9メートル、横は約15メートル。巨大な画面にシャガールの色彩への情熱がほとばしっています。





青森県立美術館の構造をいかんなく活かした展示場所だなーと思いました。

上から見下ろして、怖い!と泣いている女の子もいましたけどね(笑)。



B2からB1に上がると(階段も壁もエレベーターももれなく真っ白なので、いろいろドキッとしてそこがまたおもしろい)

展示室に入る前に、「観賞用少女と、見つめ返す少女」の一部(そのほとんどは別の展示室)で、

アサヒビールやキリンビール、月桂冠などのお酒のポスターがあり、これがどれもステキ。ただ、美女と美少女の線引きはいずこ?と思うものもありましたが、たのしんだからいいや。

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反対の壁には「少女の一生」のテーマで、須藤しげる、池田蕉園、鏑木清方などの双六の図があります。

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(「少女遊戯すごろく」池田(榊原)蕉園)


豪華な顔ぶれのこんな展示があるなんて。予想外だったので、うれしい。

そして展示室に入る前に、巨大美少女見下ろしスポットに、

田舎館村応援プロジェクト、いち姫のフィギュアと田舎館村役場のジオラマがあったんですよ。




図録には展示されていないものも含まれているし、逆に展示されていても図録にはないものもありまして、油断できません。


つづいて、「うつくしきもの、それは少女」へ。

橋本明治の「扇面古写経模写」の引き目鉤鼻のお姫様の黒髪が顔にかかったところなど、「枕草子」の一節を思い出す、少女のかわいらしさです。
渓斎英泉の浮世絵もあり、千葉市美術館の名前におー。

知っている美術館の所蔵品が来ていると、まるで異国で邦人と行きあったような、クラス替えで幼なじみと同じクラスになったような、慕わしい気持ちになりますな。

橋本明治の作品は島根県立美術館所蔵でした。あそこからきたかーと。

2014年7月31日のテーマ青森県立美術館にいるのですが、

同時に江戸にいたり、島根にいたり、美術展を見ている時は、時空間を自由に行き来している感覚があります。

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さて、「楽しんじゃおう!」のセクションではこの屏風絵にも心惹かれました。

2曲1双の屏風絵で、橋本花乃「七夕」

帝展に出品したものの落選した作品ということですが、そんなこととはべつに、七夕のお飾りを作り、飾ることに没頭している少女たちの可憐さ、

その着物の柄や帯を丁寧に選んで着せた(描いたというより、着せている感覚だと思われます)作者のまなざしが伝わってくるようです。

金箔?と思いましたが、ちがうみたい。障子のスクリーンが少女たちの背景にあるように見えますが、どうなのでしょう。
                                                            

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七夕の季節のいま、展示されていると季節にもあって、つきづきし、という気持ちになります。


大阪新美術館建設準備室所蔵とありました。いま岩手県率美術館で開催されている、「キリコ展」にも一点おなじ館からの貸し出しがあるのですが、どんな美術館なのかしら。

「大阪新美術館建設準備室
大阪市は中之島に新しい美術館の整備を計画しています。
大阪新美術館建設準備室では、国内外の近代・現代美術のコレクションを4,600点超収蔵しています」

どんな美術館になるのか、楽しみです。

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「遊び戯れる群像からスタートしたと考えられる日本の美少女画」`という、章の解説パネルに、ふと連想したのは萬鉄五郎が卒業制作で描くつもりだった女学生の群像です。

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また、会田誠の美少女たちの絵も連想されます。

すでに膨大な作品が並んでいる展示会場に、妄想美術展のレイヤーを重ねてみる。

そういう楽しみ方でこの美術展をめいっぱい楽しんだ私です。つづく。