みなさんは映画「へルタースケルター」、ご覧になりましたか?
沢尻エリカさんが全身整形美女、リリコを演じ話題を呼びましたが、
私は整形というといつも「地獄でメスがひかる」を思い出してきました~って40年前に読んで忘れられなかったマンガって凄いですよね。
リリコのプロダクションの女ボス(桃井かおり)が、
あの娘は爪と髪と目玉とあそこ以外は全部作り物なのさ、
という場面がありますが、
ひろみの場合、完璧な肉体に脳みそひとつでお引越しという、究極の全身整形です。
さて、
天才巌医師の手によって醜い肉体から誰もが振り返り、憧れる瑞々しい美少女に変貌したひろみのその後です。
その美しさから写真集を出すまでにいたり、出版記念パーティではひろみを家族扱いどころか、人間扱いさえしなかった弥生家の一家もやってきます。
お父さんが芸能関係のお仕事で招待されていたんですね。
ここで、
どうじゃ!!
となるのかと思えば、ひろみの精神は虐待されていた時代に遡り、
いまの美しさに虚無感を抱いてしまうのですね。
いまならむしろその流れの方が理解できますが、子供の頃はもどかしかったなあ。ひろみ!あんたはきれいなのよ!昔虐めた家族に復讐してやったら?
と思うが、けっきょくなにも起こらず。
現在の美貌に慣れる間もなく、ひろみは巌医師を慕うナースの意地悪な言葉に傷つき、
(あんたなんかモルモットよ。
巌先生はあんたの醜かった身体とあんたを並べて論文発表をするのよ)
自らのアルコール漬けにされて保管されていた骸を焼却し、
狂気の淵をさまよいます。
いったんは阻止されたものの、医院を飛び出し、死出の旅に立ったひろみ。
じつは結末は読んでいなかったんですよ。床屋さんで読んでいたから、その雑誌がすでに払われていてもまさか、
続きが読みたいから出して、なんて言えないでしょ。
だからこの結末にむしろ救われました。
醜い容姿のひろみに優しい言葉をかけた巌の、本心は最初からひろみの美しい心に惹かれていた、
だったから。
あー、ブラック・ジャックにも重なりますね。
ブラック・ジャックの最終回は、
黒男がいままで出会った作中の重要なキャラクター達と夜汽車の中で出会いまた別れるという幻想的なデルヴォー的な終わり方だったのですが、
二十歳で八頭身の美人になったピノコが現れ、今だったらこの姿の私だったら、と迫るピノコに、
私は八頭身にも美女にも興味がないんだ、と突っぱね、
さあ手術を手伝ってくれ、お前は私のたったひとりの助手で最愛の奥さんじゃないか、
とピノコに声をかけるんですね。
ピノコが奇形嚢腫から作られた「どろろ」的な異形のものであっても、
黒男は自身の幼年時代を重ねてピノコを愛していた。
巌もひろみの絶望と孤独と、それでも人を憎むことのない優しさを愛していた。
映画の「へルタースケルター」の救いのなさはまたべつの次元ですが、
人間の足と引き換えに一足ごとにナイフで突き刺される痛みを味わった人魚の姫の物語も、
そうまでして人間になったのに報われることのない愛のあげくに、海の泡になったという結末でした。
ひろみをただひとりだけでも真に理解し、愛していたひとがいたなら、
この物語はハッピーエンドだったのかもしれない。
それにしても、雑誌の広告でプチ整形してワタシ明るくなりましたあ!とか、大幅ダイエットに成功して彼氏ゲット!とか見かけるのですが、
なぜそうはならなかったのでしょう。
40年前のマンガですが、プチ整形が鼻をかむくらい簡単なことになったらしい現在に読むと、またいろいろ考えさせられます。
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