…魔の35km。
村上春樹も「ランナーズ」も「マラソン1年生」もみんな言ってる。
きのう、27kmまではどこも痛くなくて、
むしろこのままスルッと完走してサブ5も達成したらあっけないなあ、
むしろはやく35kmでもがく自分に会いたいとさえ思った。
早く苦しくなりたかった。
35kmをすぎて、それでも全身疲労困憊、ではなく。
これで終わり?なんてわけはない。
そりゃあラスト5kmは今まで会ったこともない自分が出てきたさ。
魔物は37kmに潜んでた(笑)。
気づいてなかっただけでもうとっくにやられていたんだよね。
…私、感涙ってないの。
卒業式に泣かないと~冷たい人と言われそう(「卒業」斉藤由貴)
って卒業式で何故泣く。わけわかんない。と小学生当時から思っていたくらいで。
それなのに、ラスト3kmではもう間に合わない(サブ5に)、
一年頑張ってきたのに!
でももうスピードは出せない、
とぐるぐる煮え立つ気持ちで、涙がでそうな切羽詰まった気持ちになったよ。
ああ、30kmあたりで泣いてたツインテールの若い子がいたなあ、もお走りたくないよお、ってなどと思い出したり。
その時はだったら出るなと思ったけど、いまの自分も同じじゃん、と自省したり、
自分に腹を立てたり、宥めたり、嵐のようだった。
残り2.195km。
なにかもうすべてが洗われたような気持ちになって、いま全部出さなきゃいつやる、
と気持ちだけでスピードをあげてゴールまで澄んだ気持ちで走った。
で、
自分はダメなところも多いけど、
最後の最後にはあきらめない、折れない人間が出てくるんだとわかった。
まあ43kmになったらまたグズグズだったりするかもしれないけどね。
走りながら自分という工作物を旋盤にかけて切削しているようでもあった。
最初は元気いっぱいの、自信に溢れる自分、
27kmをすぎて魔の35km来いやあのチャレンジャーな自分、
37kmからの不安と諦め、
残り3kmからの混乱する自我。
42.195kmはいろんな自分を削り落とす旅。
ハーフまでは自分をコントロールできるけれど、制御しきれなくなった自分というものも、
やっぱり自分にはすきな自分だった。
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