吉行和子と蒼井優が出ている以外はあまり予習しないで行ったので、
あらーっ!!
の連続。
夏川結衣の長男の嫁役はなにか「歩いても歩いても」を思い出させたなあ。微妙な表情がうますぎて、なにか身につまされる(笑)。
長男で島を出て東京で医者になった西村雅彦。しっかりものの長男夫婦盤石、って感じ。
夏川結衣に「おねえさん」と呼ばれているのが中嶋朋子。あらーっ!ですよ。
中嶋朋子の方が若く見えちゃうんだもん。
この中嶋朋子が演じる滋子は美容院を経営していて、夫が林家正藏。
「大変なんすからもう」とか「どーもスイマセン」とか、林家三平の往年のギャグをセリフに織り交ぜるくすぐりはあったけれど、演技が自然で役の髪結いの亭主そのものだった。
次男が妻夫木聡で、その恋人が蒼井優。
東京に出てきて子供たちのところを訪ねあるくけれど、みなそれぞれの生活があって、老いた両親に良くしてやりたい気持ちはあっても、それができなくてもどかしい、
その感じが身につまされる感じだった。
滋子は美容院もあるうえに、商店街のお祭りや飲み会のこともあって、頼れる弟である、西村雅彦演じる幸一に横浜のとびきりいいホテルに泊まってもらうことにする。
これならお互い気を使わずにすむし、親孝行にもなるし、
と思ったものの、高齢の両親は横浜の海を眺めたり、ホテルからの夜景を楽しむとあとはもういいや、と、ホテルを出てしまう。
家族ってほんとうに思うとおりにいかない。
父親は昔からの友達を訪ね、なんだかんだあってやめていたはずのお酒を痛飲してしまい、
滋子の美容院に深夜2時にタクシーで帰還し、さんざん暴れたらしい。
ああ、ほんとうに身につまされる…。
滋子が後始末をしながら、お母さん若い頃苦労してた、酒飲みってほんとうにイヤ!と電話で長男の嫁に言いつける口調になってしまう。
私も父親が20代から30代前半にかけてはそんなことが毎晩で、いやーわかるわかる、って感じだ。
その頃吉行和子おばあちゃんは次男のアパートで蒼井優に会い、彼女が帰ったあと、蒼井優との出会いについて次男に聞いたりする。
自分の子どもが男の子だからなのか、うーん、うちの息子にはこんな日がくるのであろうか、と、思って妻夫木聡が息子に重なったり。
家族の物語ですから、やっぱり自分の家族にいろいろ重ね合わせてしまいました。
映画の予告で吉行和子が亡くなる役だとは知っていたのですが、68歳という年齢が母の亡くなった年齢と偶然ですが同じだったり、
葬式のあとの形見分けとか、いろいろ思い出すなあ。
滋子は母である吉行和子の思い出に着物をあれこれ欲しいと言って次男の不興を買うのだけれど、
ああいう時のざわざわした気持ちが言わせていることで、欲張りなんかじゃないと思ったり。
蒼井優と橋爪功演じる老いた父親の場面がまたよかった。
突然糟糠の妻を亡くした父親は、子どもたちにもぼけたんじゃないかと思われるほどぼんやりしていたんだけど、
この場面では本来の落ち着きと深みのある人柄をみせて、
自分がずっと冷たくしてきた次男が妻に似てやさしい子だったのだとわかったといい、
息子をよろしく、と、頭をさげる。
いい映画だったなあ。
音楽が久石譲だったこともエンドロールまで気づかないほど、音楽でことさららしく盛りあげるともせず、
日本映画らしい映画だった。
吉行和子よかったなあ。着物姿もよかったけれど、次男の部屋でのパジャマに手編みらしいニットのベストも可愛らしかった。
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