「寺山修司 青春書簡ー恩師・中野トクへの75通ー」九條今日子監修 小菅麻起子編著 (二玄社)
なんで寺山修司なんか借りてきたんだろう?
私の高校時代、林静一のイラストで寺山修司の文庫本がずらーーーーーっと書店の棚に並んでいたんですよ。その頃にほとんど読みそして飽きた(笑)。
十代の読書ってそんなところがありますよね。
なにしろ時間はあるし体力はあるし今と違って家事は一切母親にお任せで、
本を読む以外やることはない(笑)。
ありえないくらい英語がダメダメだった私はそうそうに勉強戦線から撤退していたので、
(勉強しなくてもできる国語とちょっとやれば分かる文系数学だけでやっていた)なにしろ本はなんぼでも読めた。
寺山修司熱が冷めたのはじつにくだらない理由であった。
お母さんの名前が「ハツ」。
私は自分の名前がいまだに嫌いなのだが、当時はもっと嫌いだったので、
自分の名前がより田舎臭く感じられるハツという名前に傷ついたのだった。
ちなみに、「文子とハツ」というテレビドラマが当時あり、ハツは女中なのだった。小説でハツという女中が出て来るたびにムカついていたな~。
お父さんが戦死した寺山修司は母子家庭となり、お母さんは三沢の米軍キャンプに職を得るが、
九州の米軍基地に単身赴任してしまう。残された修司は、青森市の親戚に預けられやがて恩師・中野トク先生と出会う。
国語教師の中野トク先生も母子家庭で、修司を直接教えたことはなかったが、
先生のうちには文学書や美術書があり、当時は書店や図書館も落ち着いて本を読める場所ではなく、
中野先生を訪れて本に読み浸る生徒は修司だけではなかった。中野先生はその傍で授業の教材研究をしていたという。
母のない子の修司が中野先生に見ていたものは理想的な母親像だったのだろうなと思う。
知的で優しく(青森高校に進学した修司が訪れるとスキヤキでもてなす気風のよさである)、創作者でもあり、
憧れのお母さん。
修司は美男だなあ、美男を意識してるよなあと思うとやはり、
もうひとりのシュージが連想される。
しかしなんで寺山修司を借りたんだろう?
思い当たるのは青森県立美術館…。恐るべし。
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