ベストセラーだから読むひとと、
ベストセラーだから読まない人がいると思いますが、
私は昔は断然後者でした。
すきな作家が突然ベストセラーを出すと、
マンガでいうと、
スススス…と後方に小さくなって下がって行くような感じ。
それが三十代からはむしろベストセラー、読んでみようじゃないか、
となってきており、
本書におさめられた2001年から2007年のベストセラーと、
それと対応して紹介される往年のベストセラーを私も思っていたより読んでいたな~と。
「電車男」中野独人
「リアル」井上雄彦
「生協の白石さん」
あー、私けっこう読んでるかも?
と思いながら、読んでいくと、
綿矢りさ「夢を与える」(これは読んでない)に対応して、
「現代日本の文学 曽野綾子 倉橋由美子 河野多恵子集」(学習研究社)が取り上げられ、
おもしろい書評なんですがドキドキしました。じつは私も1971年刊行のその巻を持ってます。
三人で1巻なのに曽野綾子だけがカバー函の写真に大きく使われているのは気づいていましたが、
その裏までは考えたことは…。
ちなみに全集もののお楽しみの月報では、金井美恵子が先輩作家たちの小説の舞台を訪ねていて、
そちらも写真満載で金井美恵子ファンとしては単純にうれしかったんですが、
いろいろ考えるといろいろありそうだ。
そんな、自分しか読んでいないのではないかと思っていた本が全集ものとしては異例の売れ方をしていたことも本書で知りました。
この数年で鬼籍に入った作家も多く、
小松左京の「日本沈没」や倉橋由美子の「新訳星の王子さま」の書評を読むと感慨深い。
なんとなくベストセラーはあまり読んでいない気がしていたので、
こういう本を借りてベストセラーを読もう、と腕まくりしていたのですが、
案外読んでいたなあ。
そして読んだものの、悪くはないが、しかし、という岩手の方言でいう、
いずい
感じが払拭された感じ。
ベストセラーだって面白い、
というタイトルは編集者がつけたもので、
作者の気持ちとしては、
「ベストセラーだって読み方次第で面白い」だそうです。
まるで、「おもしろきこともなき世をおもしろく」のようですが、
おもしろいものばかりではないベストセラーを面白く読む技術はおもしろく読めたんでした。
「ダメおやじ」が出てくるとはおもわなかったなー。
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