「リバウンド」というタイトルにふと心惹かれて手に取ったら、
バスケットボールのすきな二人の少年の物語でした。
ふたりは8年生(中学2年生)。
転校してきたデーヴィッドはのっけからささいなことで口論となり、
ショーンと取っ組み合いになります。殴られたのはショーンなのに、
罰を受けるのはショーン。デーヴィッドは車イスだからです。
デーヴィッドの皮肉な口癖「車イスの世界へようこそ!」というわけです。
デーヴィッドは車イスであることで同情されたり、必要以上にサポートされる
ことを拒絶していますが、車イスの生徒、という自分の役割をうまく利用して
遅刻の罰を免れるはしっこさも持ち合わせています。
ふたりは最初、教頭がむりやり命じた転校生とそのホスト役
(学校の教室などを案内する)でしたが、
(断るとすでに停学になったことのあるショーンは
大切なバスケットの試合に出られなくなってしまうので)
バスケットボールをきっかけに距離を縮めます。
ショーンの家には、お父さんがつくってくれたコートと、
ラインまで正確に引いてあったのです。
デーヴィッドはバスケットボールを手にすると、
フックショットをうち、それがいかに効果的な攻撃になるかを
ショーンに説明します。
このあたり、まるで…
「リアル」を読んでいるような錯覚に…。
「SLAM DUNK」と「リアル」のおかげで、
デーヴィッドのいわんとすることが分かってよかった。
「リアル」でもそうでしたが、
(たしか16歳のリョウくんが、障害者って地味でおとなしくて、いい人なんだと
思ってた、と怒鳴りあいながら凄まじくぶつかりあうタイガーの練習に目からウロコ、
の場面でした)
このデーヴィッドもけっして温和でもないし、控えめでもいい人でもない。
ショーンがまさか車イスなのになんでそんなにバスケットに詳しいの?というような
あやふやな言葉を口にするや、手厳しい言葉を返します。
まだ1/3読んだところですが、児童書の世界もどんどん
広がっているんだなあと思った私でした。
(2007年刊 福音館書店)