
「ゲゲゲの女房」の極貧の新婚時代から、
やがて子どもが生まれ、水木さんのマンガが認められ、売れっ子になり、そんな水木さんと家族をささえてきた昭和の食卓。

「ゲゲゲの女房」だったか「お父ちゃんと私」だったか忘れたけれど、
カナパンがこげなものだったとは。ブランデーをかける贅沢厚切りトーストです。
子どもたちが喜ぶ顔がみたくて薄焼き卵のオムライスにケチャップで絵を描いたり、
サンドイッチでお伽噺に出てきそうな可愛い家をつくったり。
房枝さんはもともと和裁や日本刺繍などをしていたし、貧乏のなかで夫婦そろって艦隊のプラモデルに夢中になるくらいだから、
楽しみながら作っている姿が浮かぶようです。

使い込まれた道具たちには、水木さんの妖怪たちのような愛嬌さえ感じます。

随所に水木さんのマンガが引用されているので、それもまた楽しい。
家族の喜ぶ顔がみたくて、という気持ちが清々しい本でした。