わたし、男子校出身です。 椿姫彩菜
2008年6月10日第一刷、とありますから、
出版されてから2年ですねー。
はじめて本のタイトルを見たときは、
まったく違和感なく、
あ、男子校出身の女の子なんだーと思ってしまいました。
つまり。
伝統的な男子校だった所が共学になり、でもはじめは女子はわずかだった、
って、いうようなことかなと。
それくらい椿姫さんは、女の子がしっくりするひとでした。
「男子校出身」は、戸籍上の性が男性だった過去、という意味でした。
性同一性障害。
私がこの障害をはじめて知ったのは、金八先生シリーズだったんですが、
いや、もっと昔に読んだ池田理代子の「クロディーヌ」もそうだったかも。
それらは女の子が男の子の心をもって生まれてきた、という苦しみを描いていたのですが、
男の子が女の子の心を持っていると、その軋轢は倍加すると思います。
ボーイッシュな女の子は受けがいいですが、仕草が女の子っぽい男の子は
たとえば椿姫さんがお母さんから実際に言われた言葉を借用するなら、
「あんたキモイのよ」
ということになりがちです。
中高一貫の名門進学校に紅一点。はじめは苦労したそうですが、
学校行事の裏方を一生懸命がんばったことで、次第に周りから認められ、
文化祭のヒロインを演じたり、学業も優秀だった椿姫さんは、生徒にも先生たちにも
女の子として認められ、充実の学校生活をおくります。
その後、大学生になった椿姫さんを待っていたのは、高校時代とはまるっきり違う、
冷たい空気でした…。
その後の椿姫さんは、試練を潜り抜けて性転換手術を受け、女性としての戸籍も
取得します。
椿姫さんを「キモイ」と言ったお母さんも、いまではその生き方を認めています。椿姫さんの
妹さんはほんとうは双子だったのですが、
その生まれなかったもうひとりのj女の子につけたいと思っていた「有里」という名前を授けるのですから。
本書の結びの言葉も、
「ママ、私を産んでくれてありがとう」でした。