納豆主義の生き方 斎藤茂太
あれー、なんで精神科の先生が「納豆」の本?
とすごく謎だったのですが、えと、この本は、
「農業」のコーナーにありまして。
斎藤茂太、通称モタさんは、
歌人・斎藤茂吉の長男であり、作家・北杜夫の兄ですが、
なんとなく私の中では、北野大とイメージが重なっています。
芸術畑に進んだ弟と、実直な人生を歩む、どこか大らかな雰囲気の兄、という
イメージなのかなあ。
なんで納豆?という疑問はすぐに解けました。
斎藤茂吉は山形出身。ということで、山形の郷土料理と言えば、
納豆汁。ですよ。
私も学寮で納豆汁、出されたなあ。でも温かい納豆と言うのが
どうも苦手で飲めなかったなー。
この本には、斎藤茂吉と納豆のエピソードから、
納豆の料理方法、納豆の歴史、
豆のことわざ・格言から、
大豆の自給率など、
納豆について、多面から検証されていて興味深かったです。
また、たまたまなんですが、
加藤登紀子さんの亡き夫である、藤本敏夫さんの、
「農的幸福論」もおなじ棚にあって借りてきていたのですが、
敏夫さん亡きあと、その遺志をついで、
「納豆は地球を救う」というスローガンの、
「地球納豆倶楽部」の会長に就いた、という記事が平成14年12月28日付の
朝日新聞に出ていた、
という文章に、
あ!
と驚かされました。
たまたま、
なんでしょうが、私はよくこういうことがあります。
なんででしょうねー。
物資不足の戦時中に、軍隊で豆腐屋さんだった衛生兵がつくった
豆腐の忘れがたい味に思う、
「人生80パーセント主義」という言葉も味わい深かったです。
20%の飢えがあるから、何でもおいしく頂けて、食べることの幸福感や
有難味に感謝できる…
100%の満腹状態が、食べることの幸福につながっているだろうか、
また、
人生も人間関係も、それと同じで100%を要求してはいけない、
80%くらいの欠点のある人間同士だからこそ、面白味もあるし、
喜怒哀楽もあって、人間味のあるつきあいができるのだと思う、
とも。
…でも、80%でもけっこうハードルが高いような気がする私はどうすれば(笑)。