ジェフリー・スタインガーテン 柴田京子訳
原題は「THE MAN ATE EVERYTHING」
すべてを食べつくした男。
「美食術」というので、ブリヤ・サヴァランの「美味礼讃」みたいな
本かなー、分厚いし(500P超え!)と思っていたんですが、
いや、
なんというか、
食という大海原を航海しているというか、
食の宇宙へ飛び出したスペースマンの記録と言うか、
スケールがでかい。
食に関することなら、ミクロからマクロまで、なんでも情熱的に
実践するんだ、ジェフリーは。
まるで私みたい!!
とか思ってしまった。
「箱の裏」の章では、そうそうそう!と膝をはげしく叩いてしまう私。
私もやりますもん、箱の裏レシピ。みなさんは気になりませんか?
たとえば小麦粉の裏のパンレシピや、ホットケーキミックスや最近は
ビスケットでさえそのアレンジ方法がいろいろ紹介されていますでしょ。
ジェフリーはアメリカ人なので、キャンベル缶が出てくるんですが、
アメリカ人にとってのキャンベル缶って、日本人にとっての
なにに相当するんだろう…と思ってしまった私です。
こちらはむろん、アンディ・ウォーホルのキャンベル缶です(笑)。
「原初のパン」では自家製酵母に挑戦するんですが、
とにかくジェフリーの熱中ぶりはすごいものがあります。
奥さんもよくできたひとだなーと思っていたら、マドンナのコンサートに
第一次発酵を邪魔されたら、というジェフリーの不安に対しては
断固として抗議したみたいです。マドンナが出てくると、
アメリカ人とは思えないほどなんでも手作りしちゃうジェフリーも
アメリカに住んでいるんだなーパリじゃなく。と思うのだった。
いつも金と時間に糸目をつけずに料理、食への探求心を満たすジェフリーですが、
「いつも元気で」の章では、
「ピーナツバター、全粒粉小麦のパン、脱脂粉乳、ビタミン剤を摂っていれば
最低限の食費で生きのびられる」という話を耳にし、実際に試して見たり、
とにかくどの章も臨場感あふれる、冒険の連続なのだ。
料理がすきでたべることがすきなひとなら、もう読んでいるかもしれませんね。
私は図書館で借りたのですが、自分の手元に置きたくて、Amazonに発注するのも
時間の問題です(笑)。