「愛を読む人」関連文庫本フェア、
どこかでやっていそうな気がする(笑)。
オデッセイ
(キルケーのベッドに入った、というくだりを、マイケルが朗読するんですが、
キルケー、魔女ですよね。ストーリィと本の相互作用がまたいいんだ)
チャタレイ夫人の恋人
(朗読を聞いて、本気で怒り出す若き日のハンナ)
犬を連れた奥さん
変身
(カフカはユダヤ人で、小説にはいつも不条理な災難に見舞われる主人公が…「変身」ではグレゴール・ザムザが妹に林檎をぶつけられて、次第に弱っていく場面を朗読していた)
戦争と平和
タンタン
ドクトル・ジバゴ
…
数多くの名作を、少年マイケルは年上の恋人に読み(15歳と36歳での出会い!)、
やがて戦争中のユダヤ人迫害で裁判を受け、囚人となったハンナのために、
カセットテープに吹き込んで送りつづける…
ハンナはカセットを大切に棚に並べ、
マイケルに手紙を書いて感謝し、
最後に、本たちを独房の机にきちんと同じ高さに積み上げて、
裸足で上がり、
自死を遂げる…
1988年、66歳。
この時の裸足の足が、鱗じみてガサガサしていたのが印象に残っている。
分かっていた最期なんだけど、やはりハッとさせられるのだった。
平に並べ重ねられた本を踏み台にしたのは、
最後の瞬間までマイケルと過ごした夏を抱いていたかったからなのか、
マイケルに自分を忘れてほしいというメッセージなのか、
…本を踏み台にという行為に、アンデルセンの「パンを踏んだ娘」インゲを連想し、
息苦しい思いを、いまも甦らせる私なんでした。