『わが子に教える作文教室』 清水義範 (講談社現代新書)
「週刊現代」に連載されていたものだそうです。
清水義範さんって、本当に教育が好きなんだなあと思う。
たしか、以前にも弟さんと共著で、子どもたちの作文教育の
本を出していたし、もーっと大きく広く考えたら、
『国語入試問題必勝法』だって、パロディでありながら、
どこかに国語の問題の解き方が分からなくて、悩んでいる学生たちへ
手をさしのべようという温かい気持ちが汲み取れなくもない。
西原理恵子さんとずっとやっているシリーズ、『おもしろくても理科』~国語算数社会エトセトラも、
やっぱり、教育好き魂を感じますし。
そういう清水義範さんが、弟さんの学習塾で、12年間にわたって小学生の
作文の先生をやっていて、この本にはふんだんに生の作文が引用されている。
その作文が、妙におもしろいんだ。
もちろん、比喩が巧みだとか、ユーモアがある子の作文として
取り上げられるものがおもしろいのは当然だけど、
…それから先生がおやつをたべていいよといいました。
はじめにグミをたべました。
つぎにハイチュウをたべました。
そしておべんとうをたべました。
おべんとうは、ウインナーとひよこのたまごとうしのおにぎりとぶたのおにぎりとハンバーグでした。
デザートはリンゴでした。
小学校二年男子の作文なんですけど、これが妙におもしろく
感じられるんですなあ。
で、思ったんですね。
児童書には、けっこう、長くつ下のピッピがピクニックにもっていったものとか、ぐりぐらがかすてらを
つくるために用意したもの、エルマーがどうぶつじまにいくためにリュックにつめたもの、
などなど、モノの羅列が出てくるんですが、そこがまた読者を引き付けるんですね。
その原泉は、ここにあったのか、と発見した気持ちです。
ものづくし、にも共通する、好きな物をパーっと並べて、俯瞰したい気分も
そこにはあるのかもしれません。
清水義範さんの小説も好きですが、こういう教育がらみ本も併せて
読むといっそうおもしろいかもしれません。
わが子に教える、とはあるけど、清水義範さん自身が子どもたちの作文を
おもしろがって、その成長する姿を頼もしく見守っている感じが、読み手を
楽しくさせます。