筑摩書房 2001年初版
いつのまにこんな本が!
図書館から借りてきたんですけど、いろんな
意味で面白い本でした。
「大泉サロンと”花の24年組”」の章は特に興味深かった。
竹宮恵子さんが、萩尾望都の作品の世界に惹かれて、
一緒に住まないか、と、当時九州の福岡にいた萩尾さんをさそって、
暮らし始めるのですが、共同生活への憧れと同時に、
「これはやっぱり勉強するべき相手だな」という思いがあるんですね。
「たとえば私のだと起承転結の縦の流れしかないけど、
彼女のには、縦糸に対して横糸がすごくたくさんあって、
それがすごく軽妙に入ってくる。」
「萩尾さんは、どっぷりハマった手塚ファンだったんですよ。
そういう意味で彼女は本当に映画も好き、小説も好き。
だからこそ、細かい演出の部分が凄く好きだったんだと思うんですよね。」
「なのに私はその頃マンガ馬鹿で、本はあまり読んでなかった。」
こういうことを、言葉にして、自分自身を腑分けできるのが竹宮惠子さんの
エライところだなとも思うわけですが。
私の中学、高校時代はまさしく、花の24年組の活躍していた時代でもあったんですが、
私は大島弓子と山岸涼子、萩尾望都が好きで、竹宮恵子や木原敏江は
その絵柄が苦手で、それほど読んでいなかったのです。
でも、この『マンガ教室』はほんとうにおもしろかった!
さまざまなマンガを構成している要素について、
自分のマンガだけではなく、少女マンガ、青年マンガまで
例に引いて分析するのですが、それが非常に鋭く、
分かりやすい。
マンガの命は、リアルじゃなくて、リアリティ、というところに
ひどく共感したなー。