こんばんは。
ああっという間にこんな時間ですわ。
今日の午後は、「打ち合わせ」と「話し合い」がテーマでした。
いやー、日頃無口な私がよく喋りましたわ。
それはおいといて。
明日からいきなり最低気温が10度ほど下がって、雪だそうですねー。
雪といえば、思い出す河野多恵子さんの短篇があるんです。
ある幼い女の子が、いつも母親にしかられているわけ。
一生懸命にやってはいるのに、どうしても、同じ年の友達と
同じことができない。
女の子自身も、自分が他の子に比べて能力が劣っているという
感じはまったくないのに、どうしてこうなんだろうと訝っている。
その謎は彼女が成長して17歳になった日に分かる。
彼女の父親が浮気をして、外の女とのあいだにできた女の子が
家に引き取られた。その子は雪のある日、母親によって手に掛けられてしまう。
どうしても浮気相手の子どもを、自分の手で育てることができなかったのだ。
そのため、新たに生まれた女の子は、亡くなった女の子として
育てられることになったのだ。母親の殺人を隠すために。
女の子が、幼い頃、同級生に比べて劣っていたのも無理はない話なのだった。
この短篇のタイトルが「雪」なんですが、どうしても、
山口瞳の『血族』を重ね合わせてしまうわけだ。
河野多恵子と山口瞳なんて、まるっきり座標軸が違うんですけど。
山口瞳の方は、自伝的小説だし、河野多恵子の方は、フィクションだと
分かっているんですけど。
自分の生年月日が、実は嘘だったということくらい、
怖いことはない気がする。