冬の旅、どこ行きたい? | 菅原初代オフィシャルブログ「魔女菅原のブログ」

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冬の旅、どこ行きたい? ブログネタ:冬の旅、どこ行きたい? 参加中
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冬の旅には、ヒコーキより鉄道が似合う気がします。

鉄道で北へ北へ。

失恋旅行なんですよ。

子どもがいるとか45歳だとか、私の現状をすべて無視して、
若い娘さんで失恋旅行という設定でやらせてもらいます。

北へ向かう人の群はだれも無口で~♪


鉄道の行きつく先は青森駅。
バスで、この際、合浦公園(がっぽこうえん)へ行こうじゃないか。
この公園は、松林をぬけると、津軽海峡冬景色が眼前に
ひらけるという素晴らしい公園なんである。

しかも春には桜で花見ができるんである。

でも今は冬で鉛色の空を、カモメが低く飛んでいるだけですけどね。

ほんとうに鉛色なんだ。海はこわいような黝さだし。

で、しばらく海を見ている。流木があるから、それに座って。
雪が降ってくる。青森の雪は、重い。

今日は浅虫温泉に泊まることにしよう、と、
失恋の痛手を抱えるあなたはまたバスに乗るのだった。

あなたは浅虫温泉駅ちかくの温泉旅館をとり、
畳の部屋に案内された。リンゴの香りがする、
と、思ったら、床の間に林檎が積まれている。
花の代わりに、真っ赤な林檎が。

あなたは、ひとつ手に取って、頬を寄せる。
いい香りだ。

あなたは午後3時という中途半端な時間だけれど、
唐突に温泉に入りたくなる。合浦公園で、冬の海を
見ていたから体が冷え切っていたことに、気付いたのだ。

昼間の温泉には、誰もいない。
あなたひとりきりだ。
あなたは部屋から持ってきた林檎を一口齧って、
ふーっとため息をつく。

涙がゆっくり頬を伝わるのを感じるのだが、
ここは風呂だから、いいんだ、泣いても、
と、あなたは一人静かに泣き続ける…

風呂からあがると、あなたはぼうっとした気持ちのまま、
浴衣に着替えて、部屋に戻った。
部屋には、もう布団が敷いてあった。
早っ!

だが、あなたはじき納得するのであった。
青森は冬の一日が驚くほど短いのである。
夕食は、一階の大広間である。
ホタテの刺身やバター焼き、ホタテグラタン、ホタテフライと、
ホタテづくしであった。聞けば、この近くはホタテの養殖も
盛んであるらしかった。

あなたは失恋をして以来、すっかり食欲をなくしていたのだが、
ホタテをはじめとする海産物にすっかり、元気を取り戻した。
客が少ないせいもあってか、厨房の方から、サービスです、
といって、とろりとした海栗の瓶詰までふるまわれたのであった。

それは鶏の黄身をもっと濃くしたような、滋味にあふれる、
山吹色のねっとりした海栗であった。

気がつけばあなたは海栗の瓶詰を空っぽにしていた。

だって美味しいんだもの。
お腹がくちくなったところで、部屋に戻ったあなたは、
部屋の片隅に置いてあった三面鏡に自分の顔を
映して見た。

お風呂あがりのせいか、それとも、いまお腹いっぱい
食べた海の幸のおかげか、
ピンク色の頬はつやつやとして幸福そうに輝き、
落ちくぼんでいたはずのまぶたさえ、うっすらと膏を塗ったような
艶があった。

なんて、幸せそうなんだろうあたし!

あなたは鏡のなかのあなたを、うっとりと見つめる。
それから、明日は浅虫水族館に行こうと思うのだった。

こんな冬の旅がしたいですね。私が若い娘さんで失恋した場合、
というシチュエーションつきで、ですが。

さて、みなさんは冬の旅、どちらへ行きたいですか?