『すーちゃん』益田ミリ (幻冬舎)
こけしみたいな大人しい顔立ちの、35歳すーちゃん。
彼女の内なる呟きは、しんしんと降る雪のようだ。
失恋したすーちゃんは、何事もなかったような顔で仕事をして、
(こういうときに友達に電話してはいけない
おしゃべりをして気を晴らすのは早い
傷ついているあたしを軽く扱ってはダメ
今はあたしをそっとしておこう
傷つくことは正しいことだと思うから)
そしてベッドに突っ伏すのだ。
こういう自分の心の声に耳を澄ます、すーちゃんに出会えて、
よかった。一人になる時間がないと苦しいと思うタイプの人に読んでみて、と言いたいような本。