三宅智子さんと私 第十回 | 菅原初代オフィシャルブログ「魔女菅原のブログ」

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「菅原さん、チャレンジ前だから、飲み物だけですよね」


メニューをじとっと眺めていた菅原だったが、はっと目が覚めた。


そうだった。


春の女王戦で、けっこう痛い目にあったじゃないか。


というのも。


一回戦のきゅうりで圧勝した菅原は、かなりいい気になっており、


二回戦のおしる粉直前に、なんと、


赤飯おこわのおにぎりをぱくつく、


という暴挙に出たんである。



まあ、そのおにぎりを食べなかったら、


次の試合に駒を進めていた、というものでもないだろうけれども。


おしる粉勝負のあと、


「どうして、こんなところで負けるんだー」


と、曽根さんが、ドラマでよくある、


恋人の胸に、バカバカ、みたいな感じで、


泣き叫んでいたが(放映されない部分にも、相当おもしろいシーンがあるのだ)、


感動しにくい体質の菅原は、


なぜここで泣く。


と、冷静であった。



菅原はむしろ、


いつも無口で、静かに座っている池田さんが、


こそっと、体を寄せるようにして、


「菅原さん、試合前にお強食べてたから…。もち米って、


お腹でふくれるから」


と、たぶん、慰めようと思って言ってくれたことの方が、


印象深かった。



思い返してみれば、


菅原と池田さんだけが、泣いていなかった。


三宅さんも、正司さんも、みんな泣いていたのである。



だが、菅原は、


「そりゃ、あんだけお汁粉を食べれば、血糖値も上がるべさ。


 感情コントロールが利かなくなったんだよなみんな」


と、シニカルだった。お汁粉を一番、食べていなかったからこそで、


まったく威張れた話ではないのである。



その後、曽根さんはロケバスで菅原に、


「次、強くなって来てください」


と書いたメモを渡したのであるが。



菅原はその時点では、


「ありえねー」


と、思っていたが、ま、一応、記念にメモは取っておいた。


使われないまま終わってしまった、パスポートに挟んで。



このあと、三宅さんが、二人入って何も注文しないのもなんだし、


と、日替わりランチかなにかを頼み、


菅原は、たぶん、ウーロン茶を啜っていたのではないか。


食べた物の記憶は、曖昧なのだ。



ただ、チャレンジ前だからね、と、


菅原に食べることを勧めなかった


ミヤケトモコを、


この人は真面目なんだ、と、


つよく思った。



この時のことは、長く、菅原の記憶にとどまり続けたのであった。



さて。


とん陣到着である。


店頭のショーケースには、でんと2.5kgのとんかつ定食と、


記録ホルダーの、


ジャイアント白田と、


三宅さんの、写真入りのサインが飾られていた。



タイムをもう一度確認する。


三宅智子、10分55秒。



菅原は、かたわらの三宅さんを見やり、


一歩、足を踏み出した。


ゴングが聞こえたようだった(つづく)




って、いつになったらトンカツに辿りつけるんであろうか。


我ながら、いい加減に脱線するのをやめてもらいたいもんである。


ところで、ジャイアント白田だけが、白田さん、ではないのは、


この当時は、面識もゆかりもない、彼岸の人だったからである。



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