とん陣のご主人は、
「あの大会、テレビで見ましたよー。そうですか、岩手からねー」
そうして、菅原は予約をとった。
思っていたより、いろいろ制限があって、
チャレンジできる日は、
6月28日木曜日になった。
菅原はさっそく三宅さんにメールをした。
三月に約束した、とん陣へのチャレンジをやることにしました、と。
三宅さんは、それなら、ご案内します、と、即座に返信を寄こした。
その日から、菅原のキャベツ攻略の試みがなされた。
いかに、700gのキャベツの千切りを食べるか。
カツは柔らかいということだから、むしろ、早く食べられるだろう。
ご飯は、カツと一緒に食べれば、カツが潤滑油となって、問題なく、のみこめるはずだ。
キャベツは、どうする?
カツの油に絡めて、ご飯と一緒に食べることで、嚥下しやすくする作戦だろうか?
どの組み合わせで、どのくらいの量を頬張るか、
実際に、
または、頭の中で、シュミレーションする菅原だった。
一口の分量、喉を通過する時のカツのざらつき具合、キャベツの咀嚼の仕方…
当日の朝まで、菅原は組立つづけた。
それは夢の時間だったと言っていい。
夢を夢で終わらせるか、
現実の花を咲かせるか。
それは、やってみないと。
菅原は「はやて」に乗り込んだ。7:52。
帰りの「やまびこ」の盛岡到着時間は、23:29。
十数時間の、冒険がはじまった。
菅原は、動き出した「はやて」の中で、
朝つけ忘れた体重と体脂肪率を記入した。
6月28日 体重 60.2kg 体脂肪率27.6%。(つづく)