恋の行方、愛のカタチ 43 | 沼から出られない

沼から出られない

元トンペン、現在アニメ沼。ハイキュー!!、 東リベ、呪術廻戦。新規開拓中。
旦那22年秋に認知症診断
本人希望ありオス柴りゅーをお迎えし、凶暴化により訓練出すもあまり変わらず(金返せ)
旦那23年春に胃がんステージⅣ診断、抗がん剤中断、緩和へ移行。24年4.22永眠

「本当に……ほかの男に抱かれる気だったんですか」
助手席に乗るよう促され、発車した車の中で。
チャンミンが言った。まっすぐ、前を向いたまま。
「ただ金をもらうのは……申し訳ない気がしたんだ」
「あなたが望んだんでしょう? 僕と寝るのは嫌だと」
ふん、と鼻を鳴らす。
「何度寝たところで……あなたは僕のものにはならない。それはわかっています」
信号待ちで止まり、俺を見つめて。
「でも、あなたの心は確実に僕に動く。それが嬉しくてたまらないんです」
可愛い顔で微笑む。ある種の狂気を感じた。

しばらく沈黙したまま、車は走り続ける。期待と、不安。俺自身が取り込まれなければいいだけの話。割り切って、金のために抱かれればいい。
興味本位にこの世界に足を突っ込んだあの頃と同じように。……でも。
「なぜ……そこまで俺に執着するんだ」
声が掠れる。嬉しさもありながら、気持ちに応えることができない苦しみ。
何度も、関係を持ってしまったら、チャンミンの言う通り。
俺は確実に、心を持っていかれてしまうだろう。
「好きだからです。それ以外に理由なんて必要ですか? 本当は僕のものにしたい。慰謝料や養育費を払ってでも」
空いた左手が、俺の太腿にさりげなく触れる。
「あなたが……僕から逃げようとしなければ、律義に金の対価として寝ることを考えなければ……、友達ごっこを続けられたんです。でも、もう終わりだ」

車が駐車場に止まった。エンジンを切って、チャンミンが俺を獲物を狙うような目で見た。
強引にキスされて、戸惑う。誰かに、見られたら。
突き放すと、唇をゆっくりと舐めて。
朝まであなたを離しません。覚悟してくださいねと、嗤った。