Falling you 116 | 沼から出られない

沼から出られない

元トンペン、現在アニメ沼。ハイキュー!!、 東リベ、呪術廻戦。新規開拓中。
旦那22年秋に認知症診断
本人希望ありオス柴りゅーをお迎えし、凶暴化により訓練出すもあまり変わらず(金返せ)
旦那23年春に胃がんステージⅣ診断、抗がん剤中断、緩和へ移行。24年4.22永眠

俺の生まれ育った町を見たいと、チャンミンさんが言って。
誕生日のデートは、俺の思い出をめぐる時間になった。

小学校、中学校、ダンスを始めた場所、練習場所だった公園、よく行くコンビニ。

高校に、初めてバイトした店、その他本当に小さな思い出の旅。
「もしあのまま夢を追ってたら・・・今」
チャンミンさんを見つめる。とても優しい、瞳。
「チャンミンさんには、出会えてなかったのかもしれませんね」
 
試したわけじゃないけれど、なんとなく。

言いたくなった。あなたに出会わなければ、俺は。

あなたの未来を、壊すことはなかったのかもしれない。
「そう・・・かな」
「え?」
「俺はきっとどこにいても君を見つけるよ。どんなタイミングでも・・・必ず出会ってたと思う」
・・・ああ。

やっぱり、あなたは俺の選んだ人だ。

前向きに頑張ろうとしても、気付けばネガティブになってしまう俺を。

こんなにもストレートに。
「チャンミンさんなら・・・そう言ってくれると思ってました」
 愛してくれる。


「この病気が・・・あなたに早く出会うためだったんなら、俺、よかったと思ってます」
「ユノ・・・」
「頑張ります。あなたと・・・ずっと一緒にいたいから」
チャンミンさんにプレゼントを差し出す。すぐに包みを開いたチャンミンさんは。

目を輝かせてくれた。お互いの腕につける。

「手錠だよ、ユノ。絶対離さないから」

チャンミンさんらしい言葉に、泣きそうになる。

俺も、とは言えないけど。

 

離れたくない。離したくない。

 


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