俺の生まれ育った町を見たいと、チャンミンさんが言って。
誕生日のデートは、俺の思い出をめぐる時間になった。
小学校、中学校、ダンスを始めた場所、練習場所だった公園、よく行くコンビニ。
高校に、初めてバイトした店、その他本当に小さな思い出の旅。
「もしあのまま夢を追ってたら・・・今」
チャンミンさんを見つめる。とても優しい、瞳。
「チャンミンさんには、出会えてなかったのかもしれませんね」
試したわけじゃないけれど、なんとなく。
言いたくなった。あなたに出会わなければ、俺は。
あなたの未来を、壊すことはなかったのかもしれない。
「そう・・・かな」
「え?」
「俺はきっとどこにいても君を見つけるよ。どんなタイミングでも・・・必ず出会ってたと思う」
・・・ああ。
やっぱり、あなたは俺の選んだ人だ。
前向きに頑張ろうとしても、気付けばネガティブになってしまう俺を。
こんなにもストレートに。
「チャンミンさんなら・・・そう言ってくれると思ってました」
愛してくれる。
「この病気が・・・あなたに早く出会うためだったんなら、俺、よかったと思ってます」
「ユノ・・・」
「頑張ります。あなたと・・・ずっと一緒にいたいから」
チャンミンさんにプレゼントを差し出す。すぐに包みを開いたチャンミンさんは。
目を輝かせてくれた。お互いの腕につける。
「手錠だよ、ユノ。絶対離さないから」
チャンミンさんらしい言葉に、泣きそうになる。
俺も、とは言えないけど。
離れたくない。離したくない。