青天の霹靂
来月で10歳になるフク丸。これまでは病気とは無縁の健康優良犬だったのですが、先週我が家では生涯忘れられない出来事が起こりました。その時に起こった事を親方が書き留めてくれていたので、それをそのまま残しておこうと思います。青天の霹靂 晴れ渡った空に突然起こる雷の意から予想だにしない出来事が突然起こる様子先週フクに起こった出来事は、正にこの言葉が意味する様な事でした。発端は12月16日の月曜日、明け方にフクが家の中で何度か吐いてしまい、朝の散歩でも草を食べては吐いてを繰り返していたのですが、いつもの飲み込んで胃に溜まった毛を吐きだしてる行為だろうなと思っていました。ところが吐き出したものをよく見ると赤い斑点が見えたので、何だろうと思っている矢先に今度は血でピンク色に染まった泡を大量に吐きはじめたのです。これはおかしいと急いで家に戻り、病院へ連れて行って吐いた物を見せ、この状態では薬を飲む事は出来そうもないので、吐き気止めの点滴を打ってもらって帰りました。点滴を打つとおしっこが多くなると聞いていたので、フクが落ち着いたところで昼散歩に出ると薬が効いてきたのか吐き気は治まった様でした。ところが、しばらく散歩を続けていると今度は赤黒いタールの様な便を何度も何度もし始めたのです。「これって血?…フクの身体に何が起こってるんだ」と再び病院へ連れて行き、出来る限りの検査をしてもらいました。血液検査では「内臓のどこかから出血があるのは間違いないです。それが細菌かウィルスか腫瘍か何が原因なのかはこの段階では分かりません。なので対処療法的に止血や抗菌薬の点滴をして様子をみる事にします。ただ原因が特定されていないので使用する薬の効果が出るかどうかは正直分からないです。今夜にかけて万が一様子がおかしい時には○○○に夜間の動物病院があるので連絡の上そこへ行ってみてください。」と、いきなり予断を許さない状態である事を告げられてしまいました。次にエコー検査では今回の症状での原因らしいもの(異物を飲み込んだりしての出血等)は見当たりませんでしたが、他に見つかったものが。フクの膀胱近くには嚢胞(袋状のもの)があり、水や膿が溜まってその影響で将来的に様々な症状が起こる可能性があると。更にもうひとつ、一番厄介なものが。フクの脾臓に腫瘍の様なものが見つかりました。脾臓にできた腫瘍は良性・悪性にかかわらず命に関わる可能性があると言うのです。脾臓の腫瘍が万が一破裂した場合、大量の出血を引き起こす事で急激に血圧が低下しショック状態に陥ることがあると。今はまだ直径2cm弱で悪さをしてはいないが定期的に検査をして進行具合を見守る事を勧められました。今後の状況によっては手術も必要だと。次々話される診断結果に私は「目の前のこの人はいったい何を言ってるのだろう」と、かすかに耳鳴りを感じながら話しを聞いていました。病院にフクを連れて来た時は血が混じった物を吐いたとは言え、せいぜい胃が弱っているくらいだろうと高を括っていたのに、まさかこんな爆弾を抱えていることを告げられるなんて...。元気に走り回っているフクからは想像すら出来ませんでした。まるで視界の外から強烈なカウンターを喰らって意識が飛んでしまった様な感じです。診察が終わった後は何かみぞおちに重い鉛が詰まっている様な息苦しい感じで帰路に就きました。フクは家に帰ってからはまだ薬が効いてないからか頻繁にトイレに行きたがり、15分おきくらいにフラフラのフクを抱きかかえて外に連れ出して用を足し、また戻って横になるを繰り返してました。点滴の副作用で瞼やマズルが腫れあがり、だるそうに横になっているフク。「我が家に迎えて10年になるけど、こんな姿を見るのは初めてだ」そう思いながらフクをずっと撫で続けていました。夜22時頃になりやっと落ち着いてきたのか、お座りや歩くことが出来る様になったフク。散歩に行きたそうなので一緒に近所をゆっくり歩いた後は軽めの食事を摂って眠りにつきました。その後は朝まで一度も起きず、ぐっすり眠っていたので相当疲れたんだと思います。翌日の火曜日、フクはまだ70%くらいの回復でしたが、食欲もあり吐き気はすっかり治まった様でした。朝の散歩の後は、いつもの朝ご飯を完食して順調に体力が戻って来ている様に感じました。ところが、夕方に病院で3回目の点滴を打った後は2回目の時よりも副作用がかなり酷く、目は虚ろで自力で立ってる事も出来ない程で、家に帰ってからはずっと苦しそうに倒れてました。その後も様態は良くならず、夜中の1時近くになっても敷物の様にグッタリしたまま寝返り1つ自力で出来ない状態で、体が動かせないからか足はだんだん冷たくなってくるし、呼吸も弱く寝息も途切れがちになり、その度に「おい!何やってんだフク!しっかりしろ!」と何度も何度も声をかけ続けたのです。本当に怖い夜でした。そんな状態のフクの身体を摩りながら、「犬も人間もたまたま毎日何事もなく無事に生きることが出来ていただけなんだ。本当は毎日死と隣り合わせでいつ病気や事故に遭ってもおかしくない。明日が今日と同じようにまた必ずやってくるなんて限らないんだ。だからこそフクが爆弾を抱えてしまっている現実をちゃんと受け止めてこの状況にしっかり対処していかなければ。そして今まで以上にフクと一緒に居られる時間を大事にしないと。犬と人がこの世で一緒にいられる時間が同じじゃない事は分かっている。いつかは離れ離れになる命なんだという事も分かっている。でもそれは今じゃない!絶対に今ではない!」と、フクへなのか自分へなのか、神へなのか運命へ対してなのか、誰に対して言ってるのかも分からない様な事を、強気になったり弱気になったりしながら祈る様な気持ちで繰り返し、繰り返し考えていました。どのくらい時間が過ぎたのか。丸2日間まともに寝てなかったのでいつの間にか眠ってしまっていた様です。目が覚めてボーッとしていると、すぐ脇でフクがお座りをして向こうを向いてる姿が目に入りました。「夢か?」と思い「フクどうした!」と声をかけるとスクッと立ち上がってくるりとこっちを向き、しっぽを振りながら顔を近づけてくるフク。「良かった!元気になったのかフク!大丈夫なのか!よく頑張ったな!」と、どこかニヤッと笑ってる様な顔のフクをギュッと抱きしめました。峠は越えたのです。時計を見ると朝の3時。フクが勢いよくベッドを飛び降りて行ったので散歩に行きたいのだと分かり、気温0℃の中2人で外に飛び出しました。昨日の3回目の点滴の後はずっと倒れていて一度もトイレに出れなかったので、おしっこがいっぱい溜まっていて1リットル近く出たと思います。外はかなり冷えていましたがフクの足取りはいつも通り軽やかで、歩く速度も速くそれが嬉しくて、嬉しくて寒さなど気になりませんでした。夜が明けてからこの日2回目の散歩をし、いつもと変わらない状態の便を採取した後、お昼頃に病院へ持って行きました。調べてもらった結果、出血は止まり悪さをしていた細菌の数が減り腸内バランスも良好に回復しているようで、胃の状態も問題ないことから点滴から錠剤での投薬に切り替えて様子をみましょうとなりました。今回の胃や腸の不調はおそらく順調に回復していくだろう思います。薬が症状にたまたま合った事もありますが、それも含めて一番はフクの生命力の強さだと思いました。これがもう5~6歳年をとっていて今ほど体力がなかったら、あの苦しい副作用に耐えられたか疑問です。そしてこれからの最優先課題は脾臓の腫瘍との戦いです。フクが元気になったので落ち着いて考える事ができるようになったのですが、まだ体力もあり元気な状態の時に腫瘍を見つけることが出来た事は、逆にラッキーな事だったんじゃないかと思える様になりました。いろいろ調べて試せる時間がまだまだあるはずですから。そう!ラッキーなんですフクは。これを書いてて思い出しました!そもそも次の日にはこの世にいなかったはずの彼が我が家で暮らしてもう10年。今回だって生死のはざまを彷徨う様な目にあっても回復出来た。この病気だって強運のフクならきっと克服できるはず。それにフクは過去を悔やんだり未来を憂えたりせず、今を精一杯生きてる。なのに親の私が起こるかどうかも分からないマイナスな想像をして、落ち込んでいる場合じゃない。まだまだ健康に長生きしてもらって「あの時は折り返しの年だったね」といつか振り返って思い出せる時が来るまで諦めずに3人で戦っていこうと思います。きっと大丈夫!きっと良くなると信じて。大切な四つ足の家族がいる方に我が家では毎年欠かさず健康診断をしていましたが血液検査のみでエコーやレントゲンの検査まではしていませんでした。今回の事がなければフクの脾臓に腫瘍がある事など分からずに今まで通りに過ごしていたでしょう。そしていつの日にか、突然腫瘍が破裂して何が起こったか分からないままあっという間に…そんな恐ろしい状況になっていたかもしれません。もし大切な家族の検査をしばらくしていなかったり、我が家の様に一種類の検査しかしていなかったのであれば他の検査も受けてみる事をお勧めします。未然に重大な隠れた病が見つかれば早い段階で手が打てると思うのです。もの言わぬ家族のために。