2011/05/09
先週6日(金)には米雇用統計を通過しました。
日本のゴールデンウィーク中に複合的な要因で資源価格が調整局面に入っています。
NY商業取引所(NYMEX)では、原油が5日間で一時20ドル(17.5%)ほど下落しました。
為替市場ではユーロ安米ドル高方向へ急ピッチで調整しました。3日間で4%ほどの動きです。
(1)市場動向
5/6(金)、NYダウは12,638.74ドルで前週末比-1.3%で終了です。
5/2には戻り高値の12,876.00ドルをつけていましたが、調整局面です。
日経平均も5/2には震災後戻り高値の10,004円に達していました。
ECBのトリシェ総裁会見でユーロ圏の利上げ継続観測が後退し、ユーロ売り米ドル買いが高まりました。
ビンラディン容疑者の死亡も米ドル買いのきっかけとなっていました。
米ドル買いは資源価格の下落、米ドルキャリー取引の縮小に波及したとみられます。
資源価格の下落は、資源企業の株安を連鎖し、株式市場全体の重しとなりました。
株式市場の軟調さは、一部景気指標の弱含みをマイナス要因として反応。
全般にリスク資産からのポジション後退となり、為替相場は米ドル高。
そして、円相場も円高となりました。
5/5に米ドル円は79.67円を記録しています。
先々週は米QE2の終了は予想通り。
また米金融緩和策の長期化を確認し、米ドルが売られていたところでした。
先週はECBのトリシェ総裁からユーロ高への警戒と追加利上げ見送り示唆が出ました。
欧州と米国の金融政策の見通しがタイミングよく比較される展開となtっています。
ユーロ利上げ見送りはこれまでの米ドル安を背景とした金、銀、原油などの上昇局面からの格好の売り口実となりました。
商品取引の証拠金の引き上げもきっかけのひとつとなっています。
ギリシャのユーロ離脱観測と公式発表での否定も波乱要因となりました。
今週は資源価格の調整がどこで一服するかが注目されます。
原油価格は先週末のNYMEXで97.18ドルと100ドルを下回っています。
心理的な節目の100ドルを割り込んでいます。
米景気の緩やかな拡大は続いており、主要企業の業績も前四半期の堅調さが確認されています。
米経済指標です。
・ISM製造業景況感指数:60.4。好調。
・ISM非製造業景況感指数:52.8。やや下振れ。
・新規失業保険申請件数:47.4万人。悪化。
・非農業部門雇用者数変化:+24.4万人(事前予想18.5万人)好調。
・民間部門雇用者数変化:+26.8万人。好調。
・失業率:9.0%。やや悪化。
雇用者数の増加は市場に対する良いサインです。
今後の市場見通しとして:
・主要企業の業績見通し堅調さを確認。
・ここまでの原油価格上昇、インフレ観測を市場は織り込んでいる。
・米金融政策は緩和的な姿勢を続け、出口戦略も緩やかになることを確認(バーナンキ議長会見)。
・現在の株式市場は慎重姿勢と強気姿勢が混在しており、上値が伸びきってはいない。
・資源価格は中東北アフリカ情勢で高騰していた。
・今般の原油価格の下落調整は景気拡大にはポジティブ要因。インフレ観測の後退要因にもなる。
・リスクとしては、資源市場に集中していた投資(投機)マネーの後退により、全体の投資マネーの水位が下がること。
米ドル金利は史上最低水準にあり、金利が本格的に上昇するまではいわゆる過剰流動性相場が続くとみています。
日本主要企業の決算が本格化します。各社発表の震災後業績見通しが注目されます。
現在の株価水準はどの程度の業績を織り込んでいるか(いたか)が注目されます。
およそピーク比で製造業は稼働率90%回復、電力使用可能ピーク比75-80%程度と予想しています。
米国債市場:
米国債金利は2年物、10年、30年物ともに下落しました。
イールドカーブ(利回り曲線)は全体が下押ししています。
米国債金利:
2年物利回り0.6600%→0.5493%。(前週比先週末)
10年物利回り3.3999%→3.1459%。(前週比先週末)
30年物利回り4.4711%→4.2855%。(前週比先週末)
米2年物と10年物との金利差は2.7399%→2.5966%と縮小しています。
フラット化。
日本国債市場:小幅低下。
2年物利回り0.2060%→0.1900%。(前週比先週末)
10年物利回り1.2200%→1.1460%。(前週比先週末)
日米2年物の金利差:0.4540%→0.3593%。(前週比先週末)
新興国市場:
香港H株式市場はNYダウと同様、調整局面で12,849ポイント。
インドセンセックス指数は18,518ポイントまで調整下落。18,000ポイントが調整期の下値目処。
ロシアは戻り高値付近。MICEXで1,681ポイント。1,600ポイントは昨年12月の水準。原油安の影響。
ブラジルのボベスパ指数64,000ポイントで下げ止まり。昨年8月、今年2月の底値圏。
・リスク回避姿勢は新興国株式市場での売りにつながっており、年初来の大きな調整局面にあります。
・資源価格の下落度合いによっては、金融引締策の後退につながると予想しております。
・金融引締め策の後退は資産価格には追い風です。
(2)今週の予定
5/9 米中戦略・経済対話(共同会見は5/10)。主要国中央銀行総裁会議(バーゼルにて)。東芝決算。
5/10 米卸売売上高。中国貿易統計。三菱商事決算。
5/11 米貿易・財政収支。中国消費者物価指数。トヨタ自動車、米シスコ決算。
5/12 米小売売上高。米卸売物価指数。バーナンキ議長議会証言。
5/13 ユーロ圏GDP。米消費者物価指数。三井住友FG、みずほFG決算。
注目ポイント
・米中ともに消費者物価指数でインフレ見通しの見極め。
・東芝、トヨタ、日産など主要企業の決算と業績見通しへの震災影響を確認。
(3)為替 5/9午後9時00分時点。
・ユーロ・米ドル:1.4400ドル(ユーロ安・米ドル高進行から小反発)
・米ドル・円:80.75円(米ドル安・円高進むも80円前半で停滞)
・豪ドル・円:86.86円(本日朝よりやや豪ドル高・円安進む)
ユーロが利上げ見送り示唆。
週初、利上げを一回見送ってもユーロは米ドルに先行して利上げするとの見方でユーロ安一服。
米ドル円はリスク回避時に円高傾向続く。
豪ドル円はキャリー取引増加で底堅い。
今週は以上です。